第2章 中編
ユーリは闇に包まれたこの空間を見渡すと、指輪を頭上に掲げた。
そして歌を、破滅の歌を紡ごうとした時、ユーリの手をそっとアーデンが握った。
「…まさか一緒に歌いたいんですか?」
「…はぁ、オレが歌なんて歌ったことないのなんとなく分かるでしょ」
「そうなんですか?意外とやってみればいけるかもですよ」
ユーリは人の悪い笑みを浮かべる。
とても今から世界を作り変えるという重要なことをする雰囲気はなく、自分の命がかかっているにも関わらず、ペラペラと話すユーリにアーデンは脱力した。
「はいはい冗談はいいから…先代の王よ、ただそこに突っ立ってるわけでもないんでしょう?この子を死なせずに、アルテマがやりたがってることをやってよ」
アーデンはユーリの手を掴んだまま、周囲を見渡しながらそう言葉をかけた。
すると周りがややざわつき、何やら相談でもしているのか、暫くそんな雰囲気が流れて行った。
やがて考えがまとまったのか、一人の王が近づき、ユーリに歌を歌うよう伝えてきた。
当然アーデンはユーリの命はどうなると詰め寄ったが、そこは先代の王の力と、クリスタル、そして王の指輪があるから大丈夫とのことだった。
大丈夫といっても、やったことがないので安全の保障などあってないようなものであり、しばらく押し問答していたが、どうせ他に方法がないならサクッとやって早く帰ろうと、なんとも呑気なことをユーリが言ってきた。
仕舞いには口を開き、歌を口ずさみ始めたので、慌ててアーデンの手でユーリの口を塞ぐ始末だ。