第4章 キスからはじめようと言いますのは
ねえ...覚悟しろって言ったでしょ?
生まれたばかりのガラス玉みたいな、その目を捉える。
きっと無意識的に零れているであろう涙を指で頬に馴染ませた。
もう駆け引きなんて必要ない。
「ね、ふたりで、気持ちよくなろうよ...」
俺と雅紀のそれを、一緒に握りこんだ。
「あぁあっ、もっ...ん、んあっ...」
どろどろにほどけた雅紀の顔と、甘い、いつもより高い声。
骨張った男の指を、ふっくらとした女性のような唇で、赤ん坊のように柔く咥える。
その指もろともキスをした。
下の手は止めてやらない。
てか、止められるかって話。
雅紀の指は、ちょっと苦かった。
「んふ、ふ、あっ、やあ...いっ...く、しょおちゃ...!」
「あっ...俺も、雅紀っ...」
ほぼ同時に吐き出されたそれは、2つの塊の隙間を重力に従って通り抜けていく。
雅紀は膝から崩れ落ちた。
「雅紀!のぼせてない...?」
返事の代わりに、甘いキス。
「上等だ、今日はヤリまくるもん...」
にへっと幼稚園児のように純粋に笑う雅紀。
愛し合って、抱き合えるのは、この世で俺だけ。
いわゆる、独占欲。