第4章 キスからはじめようと言いますのは
「っ...もう、いい」
雅紀が触ってくれないなら自分でやる。
いや、子供かよ。
自分でも分かってるけど、こんなことされて、もう我慢が出来ない。
MAXまで膨れたそこを掴んで扱く。
「翔ちゃん?また1人でしてるの?」
「雅紀...」
俺は息子じゃなくて、その奥の、床を流れていく泡を見つめてた。
「俺がいるのに?」
かぷりと首筋に噛みつかれて、昂る。
「んあ...っ」
「翔ちゃんのエロい声、俺、大好き...」
俺の背中に、熱いものが押し付けられる。
「あ...俺も、っ、げんかいだよ翔ちゃん...」
それが俺の背中を擦る。
いや、俺の背中でそれを擦ってる。
「しょおちゃ...もう、あ...あ、」
雅紀の声が、この密室に、鼓膜に、頭に響く。
振り返ると、顔を真っ赤にして眉根を寄せる雅紀が、荒く息を繋いでいた。
ガマン、なんて
「しょ、あっ」
雅紀を壁に追いやって、ほんの少し下から唇をぶつけた。
唇と、舌と、唾液とを絡ませ合う。
乱暴なキスの隙間から重く熱い息が落ちていく。
吸い付く唇をゆっくり離すと、ブラック雅紀はもういなかった。
ひとりとひとりの時間はもう終わり。