第4章 キスからはじめようと言いますのは
「ね、翔ちゃん、恥ずかしい...」
「ん。さすがに外だとアレか」
そっと手を離す。
手汗で湿った熱い雅紀の手を握りたい。
くん、と後ろが一瞬だけ重くなる。
「でも、人が来るまでは、これでもいい...?」
俺のジーパンのポケットに指だけ差し込んだ。
俺より少し背が高い雅紀が俯くと、ほぼ顔の位置は同じで。
ちょっと突き出した唇にちゅっとキスをする。
「人きてないからバレてない。行くか」
ぱあっと明るくなった雅紀は、そのままちょこちょことついてくる。
俺より脚が長いのに。
かわいいな。
テレビ局の駐車場で、俺の車に乗り込む。
「まーさき」
「なにい?」
シートベルトをする前の雅紀を引き寄せてキス。
「ん...っふ、」
深いキス。
ふわふわの唇を舐めて、厚みのある舌をぢゅっと吸ってやると、雅紀の息は熱くなる。
俺にも同じことをしようと、体重をゆっくりこっちに預けてくる。
雅紀の舌がするすると俺の舌を何往復もする。
俺の口の端から零れた唾液を舐めとり、またキス。
そうしてる間の雅紀の目は、俺にしか見せない色に変わってる。
段々とキスは軽いものに変わっていく。
しっとりと重く離れていった唇からなかなか目が離せなかった。
今の雅紀は小悪魔モードだ。
無意識に豹変するのが狡い。