第3章 どっちもどっち、どっちもすき
1ヶ月くらい前。
日テレの廊下。
ニノがぽてぽてこっちに向かってきた。
ぽてぽては、近づくにつれてどすどすに変わった。
「おーのさんっ!ちょっときてっ」
「え?」
「大事な話!」
ニノはなんだかせわしなかった。
時間がなくて焦ってるんじゃなくて、ただ興奮しているみたいだった。
廊下の奥まで手を引っ張られて。
「どうし…」
「相葉さんと翔さん付き合ってる!」
食い気味で言われた。
「ん?」
展開が急すぎて。
おれの頭じゃ理解が追いつかなかった。
「だから、二人は恋人同士なんだよ!」
ニノはまた小声で叫んだ。
「恋人…」
「そう!」
ニノの目はすんごいキラキラしてた。
カブトムシを捕まえた小学生みたいだった。
「そっかあ。へぇ、あの二人?」
「なんでそんなに落ち着いてるのよ!」
「んー、おめでとう?」
おれと潤はもう付き合ってたし、恋愛に男も女も関係ないって、昔から思ってたから。
ニノはおれの言葉に、腑に落ちないっていう顔をしてた。