第2章 僕が手品をがんばる理由
ソファに座ってトランプを弄ぶ。
聞こえるシャワーの音。
貴方の綺麗なその手は、今貴方の身体の何処を辿っているのか。
筋肉質な胸板を辿り。
濡れた柔らかい髪を梳いて。
その逞しい手で、あの場所にも触れる…
不意に、下半身に違和感を覚えた。
股間が盛り上がっていた。
「相葉さん…ごめんね」
トランプは、箱に入れてから机の角にあわせて置いた。
ズボンのファスナーを下げ、それを取り出す。
先端は、もう既に先走りで濡れていて。
「相葉さ…は…っ、はぁ…」
今日見た貴方の全てが、俺が絶頂に辿り着くまでの材料で。
笑顔、綺麗な目、首筋、細い足首。
俺の記憶の中にいる、裸の貴方も。
少し歩けば、裸の貴方がそこにいる。
でも行けない。
だから一人でこうすることしか出来ない。
貴方もお風呂で俺と同じ様にしてくれてたら。
誰も知らない俺の心の扉の奥。
そこには、汚れてしまったコイゴコロが転がっている。