第2章 僕が手品をがんばる理由
一番上のカードを置く。
また切る。
「言って」
「んん…ストップ」
一番上のを隣に置く。
「もっかい」
「ええ~?ストップ!」
もう一枚。
「ラスト」
「最後?う~ん…」
貴方は腕を組んだ。
そんなに悩んでくれるんだ。
その突き出したふっくらとした唇に今すぐ触れたい。
その中に侵入したい。
そんなのする勇気ないけど。
「ストップ!」
「あ、は…い」
「なににのちゃん、ボーッとしてさ?」
「いや。なんでも」
貴方に見とれてましたなんて言えたら。
そんなのバラエティー番組のボケだったとしても言えないけど。