海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
ローside
翌日の朝…
「もう、我慢できない」
マリィはソファで呼んでいた本を閉じ、立ち上がった。
「我慢した方だ。お前にしては。」
そろそろか、と思っていたが。
「ついてきてくれる?ロー」
「ああ」
俺自身も開いていた医学書を閉じた。
マリィが望むなら、どこにだってついて行ってやるし、連れて行ってやる。
「メルドのところに。」
まぁ、他の男のところ、ってのが癪に触るが。
「メルド!ばあちゃん!お邪魔します!!」
強盗かのように叫びながら家に入るが、中には誰もいない。
「メルド……いないの?」
マリィは、それを確認すると家から飛び出した。
「メルドー!ばあちゃん!!」
叫びながら走るマリィの背を追う。
わざわざ面倒事に関わらずともログは溜まって、この島を出ることは出来る。
それでも、マリィは迷わない。
自分がそうしたいと思ったならそれを何としてでも成す。
それが人のためなのだから、困ったものだ。…だが、それがマリィの長所でもあり、俺がマリィを好きな理由でもある。
俺達は洞窟を抜けて、聖目族の里へと来ていた。
「あっ、お姉ちゃん!」
里に入る前、紫色の瞳の聖目族の少女が駆け寄ってくる。
「助けて…!お願い、みんなを助けて!!」
尋常ではない焦りように、ただならぬものを感じた。
「何があったの?」
「白い服着た人たちが、みんなを捕まえてるの!」
聖目族を捕まえる白い服のヤツらっていったら…
「海軍だ」
「海軍!?」
マリィは思い詰めたような顔をして、少しの間黙りこくった。
「まだ、決めつけるには早い」
「え?」
「お前のせいじゃないかもしれねぇだろ」
「…うん、ありがとう」
顔を上げると里の方へ駆け出した。
「ジュリちゃんは逃げて!」
俺も、慌てて追いかける。
「どうするつもりだ」
追いつき、隣に並んで走る。
「みんなを助けるんだよ。それにきっと、メルドもばあちゃんもいる」
その横顔には、怒りが滲んでいるように見えた。
里の中心部に着くと、建造物などに外傷はないものの、そこには多くの聖目族が拘束されていた。
拘束されていない聖目族は、応戦している。
そこには、数人の海兵と応戦するメルド屋の姿もあった。