海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
マリィside
メルドに手招きされ、彼に駆け寄る。
「あんたたちは、いつまでこの島にいるの?」
「あと…2日だけど…」
「2日…か」
メルドは考え込む仕草をした後、私から目を逸らしたまま口を開いた。
「あのさ」
「うん」
「もう、俺達のとこには来ないで」
「え…」
一瞬、言葉の意味が分からなかった。
そして数秒後、言葉の意味を理解した後にまず疑問が浮かんだ。
「なんで?」
「それは……っ」
メルドは目を伏せ、苦しげに呟いた。
「あんたと、一緒にいたくないからだよ」
「そんなこと思ってないでしょ」
何故か口をついて出てきた言葉はこれだった。
確信はない。でも、どうしてもそれがメルドの本音だとは思えなかった。
「嘘つかないで。本当のことを、言って」
彼の顔を覗き込み、まっすぐ見つめて言い放った。
「本当だってば!」
強い言葉とは裏腹に、表情は悲しげで、拳を握りしめている。
私はそれ以上問うのはやめた。でも、分からない。
何をそんなに苦しんでいるの…?
私は、固く握られた拳に手を添えた。
「まだ私は、ここにいるから。」
伝わればいい。伝わらなければそれでもいい。
その時は、彼のお願いを聞くことはできないけど。
「またね」
最後に、無言で背を向けた彼に言葉を投げかける。
「邪魔したな」
ばあちゃんとメルドの2人の影が見えなくなるまで、その方向を見ていた。
「そろそろ戻るぞ」
後ろで待っていてくれたローを見る。
「うん」
「ねぇ、ロー」
ローの部屋に戻り、2人でベッドに寝転んで微睡みながら、ずっと疑問に思っていたことを口にした。
「さっき、メルドと何話してたの?」
「…ああ…お前のことだ」
「私の事…?なにそれ?」
「知りてぇか?それなら、耳かせ」
ローは、片方の口角を上げた。
「…?」
私もローも、上半身だけ起こして近寄る。私が耳を近づけると、ローも口を寄せた。
すると、ローの吐息が耳にかかる。
「言わねぇよ」
「ひゃっ!?」
耳を甘噛みされ、肩がビクリと跳ねる。
「なっ!?」
真っ赤になって耳を抑え、ローを見る。
すると、ローは可笑しそうにクツクツと笑った。
「な……なっ…なに、を…」
からかわないでよ。
その一言が、口から出てこない。