海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
ローside
『俺はあいつに頼ることはできない』
『迷惑かけるのも嫌だから…』
メルド屋と、マリィの言葉と表情が重なる。
遠慮の言葉と、憂いを帯びた、寂しそうな表情。
「お前らは、似た者従兄弟だ」
自己主張が激しいくせに、大事なとこで遠慮する。
「…なに、その単語。初めて聞いたんだけど。」
ぎこちない笑顔でいつも通りに振舞おうとしてるのがよく伝わる。
「でも、似てねぇとこもある」
マリィは…
「あいつは…本来の目的を見失ったりはしねぇ」
頼って欲しいんなら頼ってやらなきゃ無理な話。それなのに、自分は頼ることはできないなどというのは、本末転倒だ。
マリィは家族を助けたい、そのために考え、行動している。
「本来の…目的…」
メルド屋は、考え込む。
俺も、恋敵のためにここまで言ってやる必要もなかったか…
「俺は先に戻る」
あとはもう、自分で考えろ。
俺は、船内に戻った。
「あ、ロー!」
他の奴らの元へ戻ると、大勢のクルーに囲まれたマリィがこちらに手を振り、駆け寄ろうとする。
「マリィさーん!」
「きゃっ!?」
すると、酔ったクルーの一人がマリィに抱きついた。
「あいつ死ぬぞ…」
「命知らずなことを…」
殺しやねぇよ。ただ…
バラす
「うわっ!?」
マリィに抱きついていたクルーはたちまち木っ端微塵に。
解放されたマリィは、苦笑した。
「やりすぎだよ…」
「悪ぃな」
思ってないが。
「もう」
それが分かっているのか、マリィは頬を膨らませる。
ったく、本当に可愛い。
「お前に触れていいのは俺だけだ。…マリィ。」
マリィに歩み寄り、肩を抱く。
「船長、俺らの存在忘れてね?」
「黙ってこいつの片付けしろ。お前もバラされるぞ」
「ねぇ、そろそろ俺達は帰るよ」
そうこうしているうちに、メルド屋が戻って来る。
「え?もう?もう少しいても…って私の船じゃないんだけどね」
マリィは、お見送りしよっか、と俺の腕を引く。
「ああ」
酔いつぶれ、動けなくなっているクルー以外、甲板へ見送りに出る。
「マリィ、ちょっと」
甲板へ出ると、メルド屋はマリィに手招きをする。