海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
メルドside
「あの子、たまにこっちに来るんだ。それで、一緒に木の実取ったりしてる。すっごいお転婆で手を焼くこともよくあるんだけど、なんか、妹みたいで…………」
マリィが、優しい笑顔を浮かべてこちらを見ていることに気づき、急に恥ずかしくなる。
「メルドがそんなによく話すってことは、あの子のこと、大事なんだね」
「わ、悪い?」
「全然。」
「あ、あと、あんたも怪我なかった?」
するとマリィは不思議そうな顔をする。
「メルドが私の心配するなんて…意外」
そして、ふふっ、と笑う。
「何がおかしいのさ?」
「なんでもない。…怪我は、ないよ。ローが、助けてくれたし。」
マリィは、嬉しそうに微笑む。
「それならよかった。」
何故か、胸がチクリと痛む。
「でもね」
「ん?」
マリィは突如、真面目な顔をして、話し出す。
「このままじゃ、だめだと思うの。」
「なにが?」
「このまま、ローに助けてもらってばっかりじゃ…頼ってばっかりじゃ、だめなの。」
「…なんでさ?」
「だって私は、家族を助けないといけない。それなのに、自分の身も、護れないなんて、話にならないでしょ?」
海を見て話すその瑠璃色の瞳の奥には、熱い炎が見える。
「だから…強くなって、ローに護られてばっかりじゃなくて、隣で、闘いたいの。」
その炎に秘められた志はやはり、俺じゃ持てないものだ。
「…あ、ごめん。こんなこと、話して。」
「いいんじゃない?頼っても。」
「え?」
あんたは、頑張ってる。足掻いてる。
この地上の世界は、知らないことだらけで、怖いはずなのに。
そんなこと微塵も感じさせないのは、あんたがそれを乗り越えようと頑張ってるからだよ。
「あんたは頑張ってるから。自分で全部やろうとしないでも、たまに助けて貰ったり、頼ってもいいと思う。あんたの、周りのやつらに。…もちろん、あいつにも。」
思うことを、その間伝えているだけなのに、何故か心が疼く。
「じゃないと、身体が持たないよ。死んだら、元も子もないからね。まぁ、一応、お墓くらいは作ってあげてもいいよ。」
「なんで死ぬこと前提で話すのよ………でも、ありがとね。死なないようにする」
「そうしてよ」
あんたが死ぬと考えると…怖気を感じるから。