海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
「なんでメルドが知ってんの!?」
ばあちゃんならまだ分かるけど…
「ばあちゃんに教えてもらったからに決まってるでしょ」
ばあちゃん…!!人の誕生日をポンポン他人に教えないで!
「減るものではないだろう」
突然、ばあちゃんが現れる。
「まぁ、そうなんだけどね…」
「マリィさん、今日の主役でしょ!こっち来てください!」
「あ、うん」
クルーの内の一人が、私を部屋の中心へ連れていく。
振り返った時、メルドは少しだけ寂しそうに笑っていた。そして踵を返し、部屋を出て行く。
「っ…ごめん、ちょっとだけ待ってて。」
私は、扉へと走り出す。
「えっ?すぐ戻ってきてくださいよ!」
そのクルーの声を、背に受けて。
扉を開くと、そこにはもう人影はない。私は、甲板へ出た。
そこには、海を眺めるメルドの姿が。
「何してるの?メルド?」
私の声に彼は振り向くけれど、すぐに海に視線を戻す。
私は彼の少し後ろで立ち止まる。
すると、メルドは口を開いた。
「さっきの続きだけどさ…知りたい?本当の誕生日。」
私の、本当の誕生日…
「私の本当の誕生日は、今日だよ。みんなが…考えてくれたから。」
「マリィ…」
メルドが振り向き、驚いたような顔をする。私は、そんな彼の隣に並ぶ。
私の大好きな人達が考えてくれた、この日。私の、何より大切な人が計画してくれたこのパーティ。
それが、すごく、嬉しかった。
だから本当に私が産まれた日より、私にとってはこの日こそ、思い出深い、本当の誕生日だ。
きっと、これからずっと。
「だから、私が産まれた日がいつか、だなんて瑣末事よ。」
「意味わかんないけど…とりあえず、知りたくないわけだね?」
「知りたくない…っていうか、知っても知らなくても大差ないというか。」
「そっか…まぁ、いいんじゃない?」
「うん…ありがと」
そこから、沈黙が続く。居心地の悪さを感じ始めた頃、再びメルドが口を開いた。
「あの…ジュ…紫色の目の子…」
「ジュリちゃん?」
「知ってんだ…そう。…ちゃんと、送り届けてくれた?」
その時、ジュリちゃんのお母さんの言葉と、表情が思い出される。
「…うん」
「そっか。ありがとう」
「あの子は、メルドの知ってる子?」
「うん」
メルドは、嬉しそうに頷いた。