海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
マリィside
私達は、洞窟を抜けて、ばあちゃんに挨拶をしに戻った。
すると、夕飯の準備のために出掛けて行ったはずのメルドの姿も、そこにあった。しかし、夕飯を作っているわけでも、夕飯が出来上がっているわけでもない。
「メルド、夕飯の準備は…?」
「あ…」
どうやら忘れていたようで、再び家を出ようとする。
「あ、待って!」
そんなメルドを、呼び止める。
いいこと思いついた…!
「なに?」
メルドは、振り返る。
「ねぇ、ロー。一つお願いがあるんだけど…」
30分後。
「マリィさんの誕生日を祝ってー……カンパーイ!!」
「カンパーイ!」
「か、かんぱーい…」
メルドは、遠慮がちにジョッキをかかげる。
それをなんだか微笑ましいと思う。
こんな状況になった理由は…
「ねぇ、ロー。一つお願いがあるんだけど…」
「なんだ」
「今日、船で、2人も一緒に夜ご飯食べられない?」
ローは少しの間顎に手を当てて考えこんでいたけど、ニヤッと笑って、返答した。
「ああ、いいぞ」
何を考えているのやら…
まぁいいや。
「じゃあ、早速行こ」
そして、私達は船へ帰ったんだけど…
「わーーーっ!!!」
私が食堂へと足を踏み入れた途端に、歓声が上がる。
それに、私の後ろを歩いていたばあちゃんとメルドは、ひどく驚いていた。
私はその歓声の意味がすぐに分かった。
「おめでとうございます、マリィさん!」
そして、今に至る。
昨日、ローが言ってくれたことを思い出した。
『今日だったら、もう終わっちまうだろ。それに、祝えねぇ』
それじゃあ…
「これ…ローが…?」
みんなに声をかけてくれて…?
「…ああ」
どうしよう。
すっごく嬉しい…
「ありがとう…本当に。」
「おめでとう、マリィ」
頭の上に、大きな温もりを感じる。
とても、安心する温もりを。
「ね、お取り込み中のところ悪いんだけどさ」
そこへ、メルドが現れる。
「あんた、自分の誕生日覚えてたわけ?」
「ううん」
「じゃあ、なんで?」
メルドは、辺りを見回す。
「これ、誕生日パーティでしょ?」
「うん、そう!」
「嬉しそうだね…」
メルドは、苦笑い。
「俺、あんたの本当の誕生日、知ってるんだけど。」