海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
「きゃーっ!!!」
洞窟からそう遠くない場所で黄昏ていると、突如響いた耳を劈くような悲鳴によって現実に引き戻される。
その声の主が誰かは知らなかったが念の為、確認しに行くことにした。
その声が聞こえた、洞窟の向こう側へと向かう。
俺が行っても、何か出来るわけでもないのに…
俺はその光景を目にし、瞬きを忘れた。
そこには、座り込む小さな女の子を目の前の巨大な熊から庇うようにに立つ、
マリィがいた。
彼女は、蒼導石の薙刀を振るう。
瞬間、蒼い刃が光る。
その光に飲み込まれた熊は、光が消える頃には倒れていた。
そのマリィの一連の動作は
しなやかで、
無駄がなく、
洗練されていた。
マリィは、熊が倒れると振り返って小さな女の子の前にしゃがみ込む。
「大丈夫?」
「ありがとう…お姉ちゃん…」
その女の子は、泣きながらも礼を言う。
それにマリィは、笑顔で女の子の頭を撫でた。
ふいに俺の存在に気付くと、マリィは俺にもはにかんだような笑みを向ける。
マリィ…
あんたはやっぱりすごいよ。
その力も、迷いのなさも、強さも。
そして…
ふらふらと起き上がった熊が苦し紛れに振った腕が、刀によって止められる。
刀の持ち主は刀を振り、熊をバラバラにする。
あんたの恋人が
あんたに惚れた理由がよくわかったよ。
「マリィ、無事か?」
「うん、大丈夫よ」
「全く…無茶すんじゃねぇよ」
ローはひどく優しい声音で、マリィに語りかける。
これ以上ないってくらい愛されてる理由が
よく分かったさ…
俺は、踵を返した。
マリィside
「そろそろ帰るぞ」
夕暮れの空を見て、ローは言った。
「あ、ちょっと待ってて!この子、村まで送ってくるから」
私は、目の前の藤色の瞳の女の子を抱き上げる。
「それなら、俺も行く」
「ありがとう!」
女の子は、私の腕の中で、ローをまじまじとみる。
「…なんだ」
「えと…お兄ちゃんも、助けてくれて…ありがとう…」
女の子はローの方へ手を伸ばした。
私はそれを見て、女の子をローに差し出す。
「ほら」
ローは、困惑しながらも女の子を受け取る。
すると、その子は嬉しそうに頬を緩めた。