海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
メルドside
『隻眼…だ…』
『隻眼の子が産まれた!!』
『神の愛子の妹の子だ!』
『またあの1家か……』
俺は産まれた瞬間から、神の愛子とは正反対の意味での異端児だった。
俺が3歳になった年のある日。毎日同年代の子供にいじめられる俺を見ていていたたまれなくなった祖母は俺を連れて山向こうへ引っ越した。
この目は、そんなに悪いことなのか。
なぜ、こんな目で産まれてきたのか。
弱いから、いじめられるのか。
幼いなりに色々考えた。
それで、それなら強くなればいい、と修行を始めた。
聖目族の里と、人間の村とを隔てる山には、通路のような洞窟があった。聖目族はそこから村と里とを行き来する。
俺はその洞窟を地下に潜った場所で、来る日も来る日も修行に明け暮れた。
しかし、修行を始めて10年経っても全くその成果は現れなかった。
祖母に、何か良い方法はないかきいてみることにした。
「ばあちゃん。俺が力をつけるにはどうしたらいい?」
「力を…か」
「うん」
「早い方法は、ある。だが…お前には難しいかもしれない。」
「それでも、教えてほしい!」
「…」
「お願い…!!」
俺の勢いに推し負けたのか、ばあちゃんは小さくため息をついた。
「ついてこい」
ばあちゃんは家を出て、俺がいつも修行している洞窟へ入った。
しばらく進むと、見慣れた場所につく。そして、ばあちゃんは適当な壁に触れた。
「ばあちゃん、何してるのさ。それに、俺、ここならいつも…」
俺の言葉が終わるまえに、ガラガラと何かが崩れる音が響く。
ばあちゃんが触れた場所から壁が崩れ落ち、その先に通路が現れていた。
「行くぞ」
その通路を、ばあちゃんの後をついて進んでいった。
しばらく進んでいくと、円盤が壁にはめ込んである、あの部屋についた。
ばあちゃんは円盤へと近づき、紅く光を放つ石…紅導石をその中央部へ設置した。ばあちゃんはその石に触れる。
そして、魔力をこめた。それは、ばあちゃんから魔力が漏れ出していたから、分かった。
すると、ばあちゃんが紅導石に触れている手と反対の手が、何やら光り出す。
その光がおさまると、ばあちゃんはこちらに近寄り、手を開いた。そこには、橙色の小石があった。
「これは、『結晶』という。」
「結晶…」
「これは私の力の結晶だ。」