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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第4章 少し寄り道


全く、重くない。
ローの刀はあんたに重たかったのに、これは、私の一部というだけあって、私の意思通りに動く。

「戻す時は、あんたがそれから魔力を抜けばいい」

「わかった」

すると、その薙刀は、もとの石に戻った。

「やっぱりあんたは、それを容易くやってのける。」

「え?」

メルバの方を見ると、悲しそうな、羨ましそうな表情が目に入る。

それが、何か引っかかった。

「なんでもない。じゃ、そろそろ行こ。」

「待って」

踵を返し、出口へと歩き出したメルバの手首を掴んで引き止める。

「なに?」

「あなたがさっき言ってた練習って…」

「俺は忌み子だから。」

「え…?」

「さ、そろそろ戻んないと、ばあちゃんが心配する。」

メルドは、私の手をさりげなく解く。


さっきのメルドの表情が目に焼き付いて離れなかった。
無性に、彼を救いたいと思った。私にはそんな力、ないかもしれないけど。


家へ戻ると、黄色い瞳の男がおばあちゃんと話している最中だった。
その男は、メルドを見るなり舌打ちし、こう言い残して帰って行った。

「忌み子め…」

先程、メルバが発した言葉と同じだった。
しかし、それを聞いたメルバは一切動じない。

「あいつ、今日も薬のこと?」

「ああ。メルバ。マリィに全て話したか?」

「うん…あ、ひとつ忘れてた」

「なに?」

「あんた、誕生日は覚えてる?」

予想の斜め上を行く発言に、目を瞬かせる。

「覚えてない…けど」

「それは、ばあちゃんがあんたの記憶を操ってるからわかんないんだ」

「なんでそんなことを?」

「蒼導石を作ったってことを忘れるため。忘れて、導かれるためだ。本当に、必要な時にそうなるように。」

「そうだったんだ…」

道理で全く思い出せない。

でも、今はそれより知りたいことがあった。

「ねぇ…忌み子って、何…?」

「夕飯、捕ってくる」

私の質問の後、間髪入れずにメルドの声が入る。
やっぱり、気にしていたことなのかもしれない。
悪いことをしてしまった…?

「忌み子の話は…」

メルドが振り返って口を開く。

「ばあちゃんに聞いて。」

「いいの…?」

「うん、あんたなら。」

「…ありがとう。何故だか、わからないけど。帰ってきたら、それも教えてくれる?」

「…考えとく」

そう言い残し、家を出た。
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