海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
「きゃああああ!!!」
それはよく知る、妹の声だった。
「サラッ!!」
私は洞窟の方へ走った。
妹は、まだ力を使えなかった。
私は、その光景を見て悔しくてたまらなくなる。
「姉ちゃんっ」
海賊の男が1人、サラに拳銃をつきつけていた。その背後に、大勢の仲間が見える。
「お前が…『神の愛子』か。妹を返して欲しいか?」
その男は、喉で笑う。仲間も同調する。
腹の中から、ふつふつと怒りが湧き出てくる。
「助けて…!」
その怒りが自分に対してのものなのか、海賊に対してのものなのか、もはや分からなかった。
自分のせいでみんなが傷ついている。だから私も闘った。
母さんに妹のことを任された。でも私は…
妹を危険な目にあわせてしまった。
まさか、こっちに危険が及ぶなんて思いもしなかった。
でも、今は考えるよりも、
早くあの子を助けないと。
「その子から…サラから…」
「離れなさい……!!!」
瞬間、辺りが眩い光に包まれる。
「姉ちゃんっ!!」
「何だ!?」
私がなにかしたわけじゃない。でも、何も見えなくなるほどに強い光。それが消えた時、私の手には紅い宝石が握られていた。
そこから、強い力が感じられる。
前方を見ると海賊はまだ妹を離してはいなかったが、動揺を隠しきれていない様子だった。
手の中の石を見る。
今はこれが何か、なんて瑣末事。強い力を感じるこれが役に立つのなら、使うしかない。
手の中の石に、自分の魔力を全て込める。
すると、感触により、手の中のものが形を変えたのが分かる。
見てみると、それは円盤の形へと変形していた。私が掴んでいるのはその中心に付いた、持ち手。円盤の端は尖っていて、とても触れられそうにない。
私はそれを、海賊に向かって放る。何故か、妹に当たるのではないか、という不安は微塵もなかった。
「うわぁー!!!」
すると、それは私の意思通りに海賊のみを傷つけていく。
魔力により、海賊達に致命傷を与え、そこからさらに傷が広がっていく。
解放された妹は、私の元へと駆け寄ってきた。
「姉ちゃんっ!!!」
「大丈夫…!?サラ!!ごめんね…」
「ううん、ありがとう」
しかし、それで終わりではなかった。
「馬鹿にするな…」
先程、妹を捕らえていた男の声が響く。