海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
マリィの祖母side
「なんだと?」
一瞬、我が耳を疑った。
「これは私のせいで起こったことだから!私にも闘う義務があるはずでしょ!?」
やはり、聞き間違いなどではなかった。
「だがお前には…」
早すぎる。そう言おうとした途端刃物が空を切り、何かが切りつけられる音によって、それは遮られた。
「うぁぁ!!」
仲間が攻撃を受け、声を上げる。
「っ…」
この状況では娘のことだけを考えているわけにはいかない。
「お願い!母さん!!」
「…怪我だけはしないでくれ」
仕方なく、許可を下ろす他なかった。
戦況は不利。海賊の数が多すぎる。私達が応戦しても、対処できないほどに。しかし、大きな閃光と共にそれは大きく変わった。
光が消え、前を見渡せるようになると、目を見張った。
正面にいた敵は、誰一人として立ってはいなかった。ただ、その視界を遮るものが一つとして消え失せた風景の中、見慣れた小さな背だけは悠然と立っていた。
娘の…『神の愛子』の力を、初めて目の当たりにした。
リラside
私の目の前が、一瞬にして開ける。
今、私は何をしたの…?
ただ、夢中になって願った。この地を脅かす海賊達がいなくなってほしい、と。
数十秒後…いや、本当は数秒後だったのかもしれない。
私は我に返る。そして思い出す。他にもまだ敵は残っていたということを。
近くにあった家の屋根によじ登り、彼方此方を見渡す。
敵は、まとまって行動している。それはきっと、聖目族である私達の力を恐れてのことだろう。
そして、海岸に見える大きな船からは蜘蛛の子のように、大量に海賊達がこの島に侵入してきていた。
そして、私は思いつく。
あの船を壊してしまえばいい
その考えが浮かぶなり、その船へと手をかざす。そして
ドォォォォンッッ!!!!
その船は、大きな爆発音と共にみるみるうちに炎に覆われ、そして崩れ去っていった。
その音を聞いた海賊達も聖目族も、何事かと振り返る。
私は屋根から飛び降り、着地すると再び走り出す。
そして、出会った海賊を走りながら戦闘不能の状況に陥らせる。
他の聖目族はそんな私を見て、ただ唖然としていた。
勝利の兆しが見えて来たと思われたとき。
私の耳に甲高い悲鳴が届く。
それはよく知る声だった。