海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
「え、そうだけど…なんで?」
「なんか、そいつはマリィのことすごく大事にしてるっぽかったし、あんたはあんたでそいつのこと大好きみたいだし。」
他人からそう言われると恥ずかしいけど、少し、嬉しい。
「ま、いいや。ついたし。」
「わぁ…」
顔を上げるとそこは、通路の突き当たり。その壁には、大きな
円盤がはめ込まれていて、それは人間一人分の大きさをゆうに超えていた。そして、その中心部には紅い、手のひら程の大きさの石がはめ込まれている。
「これは…?」
暗い洞窟の中、メルドが持つランタンに照らされたその石は、まるで燃ゆる太陽だ。
「あんたが今持ってるその石は、この紅導石と、あんたによって作り出された。」
「紅導石…?」
「そ。で、今あんたが持ってるのは蒼導石。」
蒼と、紅。対になる二つの色。しかし、片方は、もう片方と私…『神の愛子』によって生成された。つまり…
「この石は、『神の愛子』が持つ力の結晶…?」
「ご名答。作り出された石は、その人の瞳と全く同じ色になる。普通の聖目族でも結晶を作り出すことは出来るけど、米粒程度の大きさで、すぐに消えてしまうし、大した力はない。」
「作り出した人の力量が反映されるってこと…ね」
だからこの石は私の目と同じ色で、私が持ったら光ったんだ。
「でも、私こんなもの作った覚えない。」
「その話も後でしてあげるけど、その前に紅導石の話。」
「うん」
「それをあんたが作ったってことなら、紅導石も『神の愛子』が作ったってことになる。あんたは紅い目の聖目族を知ってるはずなんだけど」
「それって…母さん?」
「うん、あんたの母親のこと。あんたの母親以外に紅い目の聖目族はいないし、あんた以外に瑠璃色の目の族聖目族はいない。」
「でも母さんには…そんな力…」
そんな力、ないはず…だって
「お前の母親には、力がないのか?」
ローが問いかける。
「ううん。ないわけじゃないんだけど、無いに等しいくらいに微弱なの。」
「その原因は、この石にある」
「じゃあ、やっぱりこれを作ったのは母さんなの?」
「しかもあんたの母親は、自分の力だけでこの石を作り出してしまった。」
「ていうことは…」
「この紅導石を生み出したことで、聖目族としての一切の力を失ったわけ。」