海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
「嫌か?」
嫌?そんなわけない。だって…
「ローと一緒に寝られるのに、嫌なわけないでしょ」
ローside
こいつは本当に意味が分からねぇ
俺がおかしいのか?
いや、明らかにおかしいのは俺じゃねぇ。こいつだ。
知っていたことだが、この冷静さと謎の天然の前では完全に調子が狂う。
マリィは、俺の隣に寝転がった。
「マリィ」
「ん?」
「明日、楽しみにしとけ」
「っ…うん!」
マリィは、俺にはにかんだ笑顔を向けた。
「おやすみ、ロー」
口元は微笑んだまま、眠りについた。
「…おやすみ」
嬉しい時。楽しい時はその笑顔を守り、
悲しい時。寂しい時にはその涙を拭う。
こいつがどんな荒波の中を突き進もうと、険しい道へ行こうと、俺はどんな時でもこいつの傍にいて、守り抜く。
こいつの道を阻む者がいれば、俺が倒す。こいつが、傷つかずに済むように。
マリィの髪を撫でる。
絶対に失わずに済むように。
俺は早朝、日が昇る前に調理室へ向かった。
マリィside
朝目を覚ますと、隣にローはいなくなっていた。寝転がったまま、天井を見上げて、昨日のことを思い出す。
ローの言葉は、なんだかいつも素直じゃないけど、するりと心の奥に入ってくる。そして、いつでも私の心を解してくれる。
窓の外を見れば、もうすでに陽は昇り始めていて、船も海上に出ている。
ローは今、どこにいるんだろ。もう島に行ったかな。
とりあえず身支度を整えて、食堂へ向かった。
「おはよう。ローはいないの?」
「おはようございます、船長は…俺は見てねぇっすけど…」
「そう…ありがとう」
私は、調理室へと向かった。
「ねぇ、ローは来てない?」
「来てないと思いますけど」
「わかった。ねぇ、どこにいるか、知らない?」
「もう島に行ったんじゃないですかね…」
「ありがとう」
朝食のサンドウィッチを片手に船を出た。
ローside
俺達が立ち寄った島は、予想以上に大きな島だった。
大きな島だけあって、大抵何でも売っていたから物資を調達するには申し分ない。
しかし、俺が一足先に島に上陸した理由は別のところにあった。
朝、調理室へ行って、今日の夕食はオムライスにするよう言ってきた。クルーには、船の飾り付けをするように。そして、その全員に口止めを。
全てはマリィの誕生日を祝うためだ。