海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅
ふぅ、とため息をつく。すると
「ん…」
自分しかいないはずの部屋。なのに、後ろから誰かの声…いや、声といえるほどはっきりしたものではなかったけど、確かになにか聞こえた。
「ん!?」
異変を感じて、バッと振り返ると
そこでは麦わらの一味の黒髪美人、ロビンさんが規則的な寝息をたてていた。
やっぱり知的で色気があって、すごくかっこいい。
ナミさんも、賢いし、優しいし、とても素敵。
2人とも、すごく輝いてる。
この船の女性はどうしてこんなに綺麗な人ばっかりなんだろ…なんとなく、壁にあった鏡をみる。
薄暗い部屋の中、瑠璃色の目が良く見えた。藍色の髪も、口元も。
私は、ロビンさんみたいに綺麗な黒髪も漆黒の瞳もない。
ナミさんみたいに優しくないし、いつも笑っていられない。
すぐに暗い方へと考えてしまう。
ダメなところばかりで、いくつも欠けてる。
あまりにも完璧には程遠い自分の姿。
ローはこんな私のどこがよかったのか。
思わず考えてしまった。
ローはこんなに完璧な2人と長い間一緒にいて、好きになったりしなかったのかな?
そんなことを考えていると、だんだんと瞼が重くなってくる。ここで寝ちゃってもいいのかな…でも、やっぱりこの眠気に逆らえず、そこからものの数秒で私は寝てしまった。
そのころ…
甲板
バイオリンの音色が静かな海へ響き渡る。気持ち良い夜風がオレンジ色の髪を揺らす。
「サンジくーん?いるー?」
ナミは甲板を見渡しながらサンジをよぶ。
「あら?随分へったわね」
薄暗闇の中よく目立つ、ハートの海賊団のつなぎの白はもはや見当たらない。麦わらの一味のなかでも、数える程しか残っていなかった。その中、サンジはまだ起きていたようで、海を眺めてタバコをふかしていた。
「サンジくん」
ジョッキ片手に近づき、声をかける。
その声にサンジは振り返り、笑顔を見せる。
「ナミさん。まだ起きてたんだね。」
「サンジくんこそ。他のみんなはほとんどいないわね」
「ああ、ルフィとウソップ、チョッパーはもう寝てる。ブルックは多分あのアホ2人のとこにいる。」
「ゾロとトラ男くんまだ終わってないの?」
「ナミさんは気にしなくていいよ。ロビンちゃんとマリィちゃんはもう寝た?」
「ロビンは寝てたけど…マリィも多分寝たと思う。」
「そうなんだ…あ、そういえばナミさん、なにかご用が?」
