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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第3章 新しい旅


「だから、ロー。色々ごめんね。それと、ありがとう。これで、ほんと、に、最…後…って…あれ?」
「おい、どうしたんだ?」
言葉が途切れる。
話すのが辛くなって口元を手で塞ぐ。目が潤んで視界が歪む。溢れそうになる涙を必死で堪える。

なんで?

いつか本当に別れる時が来るってわかってたのに。
自分から別れを早めたくせに。
私はきっとローに甘えてたんだ。
心のどこかで探しに来てくれる、って。
助けに来てくれる、って。
ローの優しさに甘えてた。
でも今回ローと別れたら、ほんとにほんとに最後の別れになる。

決心して、今もそれは変わらない。
でも、ローと別れる覚悟はまだ出来ていなかったみたい。

完全に矛盾してる。
優柔不断にも程がある。
家族を助けたくて、助けたくて仕方ない。
でも、それと同じくらい…いや、それ以上かもしれない。
ローと離れたくない。ずっと、一緒にいたい。
「大丈夫?」
「ん?なんだなんだ?」
話を全く聞いていなかったルフィが素っ頓狂な声をあげる。
「マリィ」
ナミさんが近づいてきて、優しく声をかけてきてくれる。私をそっと抱きしめると、頭を撫でてくれた。

そんなナミさんの優しさで、感情の砦が崩れ、涙が溢れた。ナミさんの肩に顔を埋めて、ひたすら泣いた。
「わだしっ、かぞくだずげだいのにっ…でも…でもだずげだいけどローといだぐでっ…でもかぞくは…母さんと父さんとエルルは…わだしがいがなきゃ死んじゃうがもしれないがら…」
泣きじゃくりながら、思ったことをそのまま口にする。

家族が死んでしまうのが怖くて、ローと離れるのが辛くて、どうすればいいかわからなくて、上手に言葉がまとまらない。

それでもナミさんは、「うん、うん」と、聞いてくれる。
その優しさに、また涙が溢れる。他のみんなも、何も言わずに私の話を聞いてくれてる。
すると突如、私の泣き声のみが響いていた部屋に、それ以外の声が響いた。
「おい、マリィ。」
その大好きな人の声に、ずずっと鼻をすすり、涙を拭い、ナミさんから離れて彼に向き直る。
「ちょっとトラ男くん…?」
「お前の頭の中に、俺と家族、両方を選ぶっていう選択肢はねぇのか?」
「だって、ローに私の目的のために動いてもらうのも、迷惑かけるのも嫌だから…」
「さっきも言っただろ。俺はお前に惚れてる。迷惑だとか思わねぇ」




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