海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅
思わず笑いをこぼした私に、みんなの視線が集まる。
「あ、ごめん」
「やっと笑ったな」
「だな」
戻ってきたサンジとゾロが微笑む。
「だってマリィ、ずーっと笑わなかったから。」
「ヨホホホ~女性には笑顔が似合いますよ」
私はその時気付いた。この船のみんなが私のことを心配してくれていたことに。そしてこの船の人達は温かくて面白くて、すごく素敵な人達だってことにも。
「ありがとう」
私は最上級の感謝の気持ちをこめて、微笑みながらその言葉を口にした。
「んじゃあ、マリィが笑ったことにカンパーイッ!!!」
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
その様子を、椅子に持たれて眺めていたロー。
「こいつらはおもしれぇやつだろ?」
ローはクククッと笑った。なんだかローが幸せそうに見えて、こっちまで嬉しくなってしまう。
「ローはこの人達が好きなんでしょ」
彼の顔を覗き込んで言ってみる。
「そうかもな」
否定するかと思ってたのに、珍しく素直に肯定した。
「私達も食べよっか」
「ああ」
「ん?なんか、さっきよりも料理が増えてねぇか?」
「ああ、それはな」
サンジが私をチラッと見てからローを見る。
「ローのお達しだ」
それを聞いて私はハッとしてローを見た。
「トラ男くん?なんで?」
「そんなに大食いだったか?」
「トラ男腹減ってんのか?」
「まさかロー…私のため?」
「…」
ローは私の問いに答えない。今度はサンジを見てみると、目が合う。
「マリィちゃんが思ってる通り、こいつは君のために俺に言ったんだよ。」
サンジがローのかわりに私に答えてくれた。
「言うな」
ローが帽子を目深にかぶり直した。
「…え、なんか」
「すっごく大事なことに気を使ってくれたみたいになってるけど」
「ただひたすらに無茶苦茶大食いだってことだよな?」
「え、うん」
「まぁ要するにマリィちゃんが愛されてるってことだな」
「ふぇ?」
なんか変な声でた。
隣に座るローの様子を伺うと、顔を背け、部屋を出ていってしまった。
「素直じゃねぇなぁ」
「ほへーらもはやふふわへーとはふはっしはふほ?」
「は?」
「あんた食べてたのね。だめよ、マリィはたくさん食べるみたいだから。ね、マリィ…あれ?」
「多分トラ男を追っかけて行ったんだろ」
「両思い、か」
「若いって素晴らしいですね」
