海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅
マリィside
また泣いてしまった。また人を困らせてしまった。
今日私は何度、どれくらいの人に迷惑をかけたかな…
「っ…ご、ごめん…」
急いで涙で濡れた頬と目を手で擦るが、涙は留まるところを知らないかのように、次々と溢れてくる。
「ごめん、ごめん…」
なす術なくひたすら謝っていると、再びローに抱きしめられる。
「謝んな。それと、泣くんじゃねぇ」
ローは私を抱きしめたまま、頭をポンポンと撫でてくれた。ローの温もりを感じてすごく安心した。
やがて、涙も止まってくる。
そして、私は疑問に思った。ローはなぜあの本の話を持ち出したのか。私に何を伝えたかったのか。それが、全く検討がつかない。
「なんで、あの本の話をしたの?」
「俺があの本の話をしたのは」
話をしたのは。
私に私の勝手さを自覚させるため?それとも真実かどうかということを証明するためか。帰ってきた答えはやはり予想外の答えだった。
「お前が本の主人公…ソラみてぇにまっすぐだってことが言いたかったからだ。」
「まっすぐ…?」
まっすぐってどういうこと?考えなしってこと?
「まっすぐってのは、早とちりしちまうってことでもあるが、同時に迷いがなく、目的に向かって突っ走るってわけだ。ある意味、お前みたいなやつを俺はもう1人知ってる。」
「え?誰…」
「あーーーーーっ!!!トラ男じゃねぇか!!!久しぶりだなぁ!」
私が問い返そうとした瞬間、街へ繋がる道から麦わら帽子をかぶった男が手を振り回しながら走ってきた。その人の姿が見えて、急いでローから離れる。
「麦わら屋…」
「ロー、もしかして」
「ああ、あいつだ。」
私に似てる…?
白い歯を見せて、満面の笑みを浮かべる姿は、とても私に似ているようには見えない。
だって…私はこんなに素直に、笑えない。
むしろ私もあんな風に笑えたらいいのに……
「私には似てないよ。私は…あんなに明るく笑えない。」
「いや…」
「トラ男、そいつ誰だ?」
その人は首を傾げる。
「私はマリィ。あなたは…」
「俺ぁ、モンキー・D・ルフィ。よろしくな」
しししっと、楽しそうに笑う。なんだろう、この、人を惹きつけるなにかは。
「トラ男、飯だぞ!食ってけ!多い方が楽しいしな!!!」
その人は、さっきゾロが言った通りの言葉を口にする。そこで確信した。この人こそが、あの船の船長なのだと。
