海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅
森の中ローside
「おい、マリィ!」
呼びかけてもあいつは振り返らない。俺も追いかけるが、あいつは段々速度を上げて、ついには全力疾走していた。それに伴い、俺も走って追いかける。だが、ここは森の中。木が多く、見失うのに時間はかからなかった。
「マリィッ!!!!どこだ!?」
いくら叫んでも答えが返ってくることは無い。
マリィが行ったと思われる方角に向かって走る。いくら進んでも景色は変わらず木ばかり。
マリィを探して、1時間程走り回っただろうか。やっと森の終わりにたどり着く。開けた場所で、すぐに海がある。人目には付きにくいからか、そこには見覚えのある船が停泊していた。
「麦わら屋…?」
そこには麦わらの一味の船、サウザンドサニー号がずっしりと構えていた。もしかすると、あいつがこの船にいるかもしれないという期待をこめてその船に近づき、呼びかける。
「おい、誰かいるか?」
すると一瞬、黒く長い髪が視界の端に映る。
「ニコ屋。」
「あら、トラ男くん。久しぶりね」
微笑みながら甲板の端にある柵に肘をつき、こちらを見下ろす。
「ここに女が来なかったか?」
「…どうして?」
ニコ屋は、相変わらず微笑を浮かべたまま、問いかける。
「お前には関係ない。いるなら連れてこい。」
ニコ屋は「失礼」と言い残し、船内に消えていった。
キッチンマリィside
コンコン
この船の船長の話をしていたこの部屋にドアをノックする音が響く。
「少しいいかしら?」
ドアが少し開き、綺麗な女の人…ロビンさんの顔が覗く。
「おう」
ゾロが受け答えし、ロビンさんが部屋に入る。
「マリィ。あなたにお客様がいらっしゃってるんだけど…」
「え?」
頭のなか、思いつく人物はたった1人。
「トラ男くんがあなたに会いたいって言ってるわ。」
やっぱり。
「ローが?」
「おい、どうする?」
「…」
正直、すごく迷った。
さっき、あんなひどいことをしたのに、その相手と普通に話せるほど切り替えは早くない。
でも、それはただ逃げてるだけ。一度は話をしないといけない。
もちろん、話をしないっていう選択肢だってあるけど、それは嫌だ。このモヤモヤしたものを抱えたままこれから生きていくなんて耐えられない。だから
「行く。」
ローと話をして、謝る。
私は、決意して、立ち上がった。
