海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅

奇跡を期待していても、仕方ない。自分がいる部屋を見渡す。おそらく船長室で、船の部屋としては広い造りになっている。次の島までどれくらいかかるのか。それまでこいつから逃げられるか…目の前にいる男を見る。こいつのモノになるなんて絶対に嫌。だって私の好きな人はローなんだから!!!
「まず、縄を解いて。」
「ああ、すまなかったな。」
男は、すんなりと縄をナイフで切る。
「これで、俺のものになるんだな?」
誰もそんなこと言ってないんだけど。
男の手が私の頬に触れる。
「触らないで」
その手をパシッとたたく。
「気が強いのもきらいじゃないな。」
男は口角を上げる。もはや気持ち悪い…
私は立ち上がって、ドアに駆け寄り、ドアノブに手をかける。ドアを開く前に、追いかけて来ていた男に肩を掴まれる。
「どこへ行く気かな?」
まずい。びくともしない。万事休すか、と諦めかけた時。
「船長ー!島にもうすぐ着きまーす!」
船員の声が響いたことで、船長の男は私の肩から手を放す。
「お前も行くよな」
「…うん」
ドアを開いて、その部屋から出る。
でも…早くない?私がローの船を出た時点では、島まであと3日あった。それなのに、もう島につくなんて。まさか私が2日間ずっと気絶していたっていうの?そんなに眠っていた気はしないけど…
甲板に出ると、外は明るかった。時刻はだいたいお昼前くらい。
海の向こうを見ると、すぐ近くに島が見える。山と、街が見える、至って普通の島だ。島についてからとる行動は、もうすでに決まっていた。それは、逃げること。それだけ。私の前に立つ、男を見る。こんな奴の言う通りにするつもりはさらさらない。
「島に着くまでもう少しだし、さっきの続きは帰ってからにするかな?」
続きなんてするわけないでしょ。
そんなことを言えば、海軍のことを引き合いに出されると分かっているから、言わない。でも、続きはしない。だって私は逃げるんだから。
「よし、島へ着く。準備をするんだな」
「はいっ」
ローside
「あっ!船長ー!島が見えました。」
それを聞いた途端立ち上がり、甲板の端へ移動する。
「あの島か。」
「はい」
「もっと急げ。」
「はい!じゃあ、潜ります」
俺も、船員たちも船の中へ入る。
俺は自室へ戻り、ソファの前を行ったり来たりしていた。
なぜ、俺はこんなことをしてる?なぜ、こんなに落ち着かない?
