海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅

マリィside
雲ひとつない、星が散りばめられた夜空に、美しい月が浮かんでいる。今日は満月だ。その月光に照らされる海の上で、自分が先程までいた船があるであろう方角を見やる。私は予定より3日も早くローと仲間たちのもとを去った。本当は、できるだけ長く一緒にいたかったし、お別れも、お礼も、きちんと伝えてから彼らのもとを去りたかった。でもそんなことをしたら、泣いてしまうかもしれないし、心が揺れてしまうかもしれない。それで、みんなに迷惑をかけたくない。
私自身も、やっぱり家族を助けに行きたい。だから、決心が変わってしまう前に彼らのもとを離れた。きっと、正しい選択だったと信じたい。
私は何も知らないけど、海に危険が多くあることは知っている。でも、その危険に巡り会ったとしても、私には聖目族としての力がある。もしも何かがあっても対処はできる。しかし、実践はほぼないから意味がないかもしれないけど。
その時。
「もしかして、聖目族の女ってこいつなんじゃねぇ?」
大きな船に出くわした。その船には海賊旗が掲げられていた。すっごくまずい。ほんとにまずい。私は全く戦えないし、身体能力もそこまで良くない。
「え、あの5000万ベリーの?」
船の上からライトで照らされ、思わず目を細める。
「うわ、マジだ。髪藍色だし、目が青いし。」
「船長に報告だ!!」
やばい。この状況で、相手が私を捕えずにおくことはまずないだろう。だからとりあえず、この船から遠ざからないと。
「あいつかな?」
「はい!」
私が船を漕ぎ進める前に、その船の船長であろう男が甲板に現れた。
「おお、いいもん見つけたな。連れてこい!」
「了解です」
やっぱりそうなるよね…どうしよう。きっと海には大型海洋類もいるし、海に入るのは無理。戦う力もない。仕方ない、試してみよう…
私は、全身の神経を目に集中させる。カッと目を見開き、船に手をかざすと、相手の船のマストを引き抜き、落下させた。
「うわぁ!?」
「なんだ!?」
「あの女だ!あの女が力を使った!!」
「何してくれんだ?ただで済むと思うな!」
船長らしき男が、こちらに向かって踏み出したので、私は甲板に落ち、軽く甲板を抉ったマストをそのまま回転させた。
「やばい、逃げろ!!!」
船を破壊していく。まさか自分にこんなことができたなんて。初めて力を思い切り使って、楽しさを覚えていた。
