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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第3章 新しい旅


マリィが船から出る少し前
ローの部屋ローside

なぜ俺はあんなことをした?

自分でやっておきながら意味がわからない。
しかもあいつはあの後、普通に話していたし、いつも通りだった。少しも動揺しているようにみえなかった。
確かにあいつは冷静だが冷静にも程がある。
俺はどうもマリィのことに関して不得手だ。
まさか、あんな年下の小娘に踊らされる日が来るとは思わなかった。
俺は恐らく、あいつより多く経験があるにも関わらず。あいつは恐ろしいやつだ。
ここまで俺を翻弄するとは。
こんなことをして、ここまで翻弄されて。
しかも、こんな気分になったのは初めてだ。今まで出会ったどの女にも感じたことのないような感情。
そろそろ認めないわけにはいかないだろう。

俺は確実にあいつに惹かれている。
惚れている。
ここまで俺のモノにしたいと思ったやつはいない。
あいつはもうすぐこの船を出て、もう会うことはないだろう。しかし、もはやあいつは、俺にとって必要不可欠な存在になりつつある。引き止めたいとは思うが、あいつの意志を尊重したい。どうしたものか…

「船長!船長!!」
「なんだ」
クルーが部屋のドアを激しく叩く。
「マリィが!」
その名前を聞いた瞬間立ち上がり、ドアを開け放つ。
「あいつがどうした?」
「いないんです!それに、小舟もひとつなくなってて…」
まさか…島につく前に出ていったのか!?ここはグランドラインだぞ。あんな小舟1隻でもつはずがない。
「いつだ?」
「はい?」
「いつ、いなくなった?」
一気に血の気が引いていく。次の島までは三日分の距離がある。早く見つけないと沈没する可能性だって十分にある。
「探せ!あいつは船の中にはいねぇ!今すぐ海上に浮上しろ!」
「は、はい!」
指示をうけ、慌てて走り去っていく。
どうしてあいつのことになるとこんなにも余裕がなくなってしまうのか。情けない。もっと早く気づくことが出来なかったことも、いつもの自分でいられなくなることも。

現在、時刻は夕食後の午後9時。夕食のときにはあいつはいたから、出ていったのはその後だろう。おそらく、船が浮上している間に出ていった。それなら少なくとも2、3時間は経っている。見つかるかどうか、微妙な線だ。
船が浮上するのを待つ。

この時間に、何も出来ない自分が歯がゆくて仕方なかった。
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