海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第2章 次の島まで

準備といってもそこまでのことが出来るはずもない。とりあえず、強くならないといけない。戦うためには素手より武器があった方が有利だろう。というわけで…
「ねぇ、ロー。ちょっと刀かして」
甲板でいつも通り、愛刀を肩にかけて座っているローに頼んでみる。
「は?」
思った通りの言葉を返してくるローの目を見つめる。私はいたって真面目で、本気でローに申し出ているのだ。
「…気をつけろ」
ローはその気持ちを汲んでくれたのか鞘から刀身を引き抜き、こちらに差し出す。私はその刀を受け取る。
「うわ、重っ!」
想像以上の重さに驚き、刀を落としそうになる。
「気ィつけろって言ったばっかだろ…」
ローが呆れたようにこちらを見る。
「ご、ごめん…」
私は刀を持ち直し、構えてみる。刀の重さに耐えきれず、腕が震える。情けない。無力にも程がある。この程度の力で家族を助けるなど夢のまた夢だ。
「っ!」
気持ちを奮い立たせ、刀をひと振りしてみる。
「おうわっ!?」
すると、刀身の重さに体がもっていかれ、倒れ込んだのは
「っ!?」
ローの膝の上だった。
「うわっ、ご、ごめんなさい」
「今のお前にこれは扱えねぇ」
その体制のまま、ローはいつの間にか彼の手の中にある刀をみる。
「わかってるよ!」
そんなことは分かってる。…分かってはいるけど…それは『今』だけ。
「でもそれじゃ、終われない。無理なのは『今』だけだから」
それを聞くと、ローはふっと笑った。
「…そうかもな。」
「うん、頑張るよ」
「ああ、そうだな」
…ん?そうだな?そうだなって何?それじゃ、まるでローが一緒に頑張ってくれるみたいじゃない。でも、なんで?なんか嬉しい…
本当にそうなるはずなんてないのに。私は次の島でもうロー達とお別れだからそんなことできないのに。それなのに、そうなればいいって、思ってしまう。ローはそうなってほしいと思ってるの?言葉の真意がつかめない。
「…うん」
答えに困って、とりあえず頷く。
そして、自分の状況を思い出す。
「うあっ、ごめん、重いね」
急いで、ローの上から立ち上がろうと、床に手をつく。しかし、ローがそれを許さない。
「ロー?あのー、ちょっといい?」
「…」
無視…ていうかここ、甲板なんだけど。すごい人に見られるんだけど。いや、それより何この状況。こういうの2度目だけど、こういうのって恋人同士とかがやるものじゃないの?
