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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第2章 次の島まで


「売ったり、人で実験したり、なんて…」
ありえない。ありえないはず。でも、ローは淡々と「売られるか、実験に使われるか」と口にした。当然のように。
「政府や海軍が掲げる『絶対的正義』を本物だと思っているのか?」
「ちがう…の?」
「もちろん、海軍は正義で海賊は悪。海軍にも、本当の正義を掲げる者もいる。しかし、海軍は海賊を捕らえるためなら手段を選ばない。」
ローが無表情で話す。
「時には味方さえ犠牲にする。」
ローは、今、海軍の誰のことを思い浮かべているのだろうか?
「そんな奴らが正義だと思うか?」
「…」
何も返せない。ローや、この海賊団の人達は今まで海軍とわたりあって、世の中のことをよく知ってて、色んなものを見てきた。それに対して私は、産まれてから数日前まで空島から出たことさえなく、世の中のことを何も知らない。こういう時、私は自分の無知を実感する。自分はこんなに何も知らなかったなんて。
「お前の家族は売られるなら、おそらく、聖地マリージョア。実験されるなら…海軍本部にでもいるんじゃないか?」
海軍本部か、マリージョアか。
どちらも私1人が容易く行って、家族を助けて逃げられるような場所ではない。
「行くのか?」
私は一瞬質問の意味が分からなかった。
「何言ってるの?決まってるでしょ」
家族が危ない。動く理由には十分だ。この新聞の記事を見た瞬間から私は決めていた。必ず助けにいくと。
答えてからもローは私を見つめ続けるので、一応言っておく。
「あ、でも大丈夫よ、ちゃんと次の島から行くから。ロー達に一緒に来て、なんていわないよ?」
当たり前だけど、と。
ローがすごく強くて、わたしの10倍の懸賞金がかけられていることは知っている。しかし、それはローに迷惑をかけて良い理由にはならない。
「次の島まであと何日?」
「あと、今日は入れないで、19だよ。」
ベポが私の問いに答えてくれる。
19日。それと、半日。それだけの時間で、何が出来るかは分からないけど、少しなら準備できるし、今の自分より、きっと少しだけ強くなることはできる。この19日間でできる限りの準備を済ませて、あとは島についてから自力でやろう。そう、決意した。
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