海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第2章 次の島まで
「そ、そうだったんですか!?」
「勝手に勘違いすんじゃねぇ」
「すみません…」
誤解が解かれた途端、その場の空気が先程までの緊張感から一変して、やわらいでいくのを感じた。もしかしたら、クルー達はローがさっき見られたことを怒っていると思っていたのかもしれない。
「私達、そんなんじゃないよね」
ローの顔を覗き込んで、おどけたように言ってみる。自分で言っておいて、なぜだか胸がちくりと痛む。
「…ああ」
ローがよこした答えはいつも通りの言葉だったけれど、同じ言葉なのに違う言葉を聞いたような感覚だった。それほど、今のローの言葉はいつもとは違った。いつもより、なんというか、悲しげだったというか。とにかく、少し違和感を覚えた。
「どうぞー」
いつも通り、みんなよりずっと多い私の食事と、少し少食なローの食事がそれぞれ目の前に差し出される。それに、私達は手をつけ始める。
「おいっひーーー!!」
“いつも通り”美味しい。“いつも通り”感嘆の声をあげ、“いつも通り”幸せを感じる。それを微笑んで見守ってくれるみんなも、呆れたように見ているローも“いつも通り”だった。でも、先程ローに違和感を感じたときに彼の瞳に浮かんだ、もう消えた悲しげな色だけが、“いつも通り”ではなかった。しかし、私にはその違和感の正体がつかめなかった。