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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第2章 次の島まで


ローside
「うわっ、ロー!」
名前を呼ばれて振り返る。そして、俺は目を疑った。そりゃ、誰でも驚くだろう。本棚が倒れてきていたんだから。しかもマリィが今にもその倒れてくる本棚の下敷きになりそうになっていた。何をしてたら本棚が倒れてくるようなことになるんだ!?
俺は反射的に立ち上がり、マリィに手を伸ばす。
マリィがこちらに伸ばしていた手を掴み、全力でこちらに引き寄せる。
ダァァァァン!!!
本棚が倒れ、船中に騒音が響いたのはマリィが俺の腕の中に収まった直後だった。どうやら本人はよく状況が理解できていないようだ。すぐにクルー達がこちらへ向かう足音が聞こえる。
「船長、開けますよ!!」
「キャプテン!何事っ!?」
「船長!!!なにがっ…」
ベポとシャチは俺の部屋の中を覗いた途端、言葉を失う。その様子を不思議に思い、駆けつけた他のクルー達もこちらを覗き込み、同様に言葉を失う。
「す、すみませんでしたぁ!!」
「お邪魔しましたぁぁぁぁ!!!」
何のことだ。
クルー達が散っていく。
「ロ、ロー??」
マリィはやっとの事で声を出す。こちらを見上げて、困惑を隠しきれていない。俺も、目線を合わせると、マリィの整った顔が目と鼻の先にある。透き通るような白い肌に、小さな唇と鼻、形の整った眉毛。しかし、中でも俺の目を釘付けにしたのは、やはりこいつの目だった。見つめていたら、吸い込まれそうだが目をそらすことも出来ない。全てを見通すような綺麗な蒼から目が離せなかった。
「あ、あの、ロー?」
「あ?」
咄嗟に間の抜けた声が出てしまった。
「ありがとう、助けてくれて。そろそろ、いい?」
上目遣いで問いかけてくるマリィを、何故だか離したくなくなる。しかし、いつまでもこのままでいるわけにはいかないので、手を離す。
「何をしてたら本棚が倒れるんだ?」
「高いところの本取ろうとしてて…」
申し訳なさそうに頬をかきながら語尾を濁す。
「それなら俺に言え。」
「だって、なんか集中してたし邪魔したら悪いと思って」
まただ。また、俺に自分の気持ちや思ったことを口にせず、勝手なことをする。俺はそれに何故か歯がゆさを感じた。それで危ない目にあっているのだから困ったものだ。
「今度からは言え。」
それだけを言って、本棚を片付け始めた。
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