海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第2章 次の島まで
「…そろそろ海中に戻る。」
黄昏ていた私をローの声が引き戻す。
「わかった。」
私は立ち上がり、ドアへと歩いていくローを小走りで追いかけた。
潜水艦の中に入り、ある事に気付いた。
…なにもすることがない。暇すぎる。
「なにしてんの?マリィ」
なんとなく廊下を歩いていると、すれ違いざまにペンギンが声をかけてきた。
「んー…特に何も。することなくって。」
「あ、じゃあ来て」
ペンギンは駆け出す。私も後を追う。
着いたのは食堂だった。しかし、ペンギンが目指しているのは食堂ではなく、その奥の部屋だった。
「調理室?」
「今、船長が喜ぶおにぎりの具を開発中だ。一緒にやる?」
「もちろん!」
即答した私に、ペンギンは少し驚いていたけど、せっせと何かを作っている人達のところに私を案内する。
「うわ…」
そこには、お米以外のありとあらゆるおにぎりの材料がならんでいた。梅やシャケはもちろん、シソ、漬物など、他にも多くの食材がならんでいた。そしてそれを、焼いてみたり、煮てみたり、様々なことをしている人が数人いた。
「それで、これをどうするの?」
「混ぜたりしてみて、おにぎりに合うかどうか試す。」
「面白そう!」
「じゃあ、はい」
そう言って、ペンギンは私にエプロンを差し出す。
「ありがとう」
私はそれを手に取り、装着。早速とりかかった。
調理台の前に立っているのは総勢5人。料理のできる人達だそうで他の船員さんも、これに参加したかったみたいだけどここにいるのは選ばれた5人のみだという。それなのに、私が参加していてもいいのか。
その5人を見ると、たまに話し合ったりしながら試行錯誤していた。みんなやっていることはバラバラだったけど、共通していたことがひとつあった。それは全員、幸せそうに作業をしていたこと。
それを見ていると、こちらも、自然と笑みがこぼれる。
「?どったの?」
隣で作業をしていた人が不思議に思って問いかけてくる。
「あ、ごめんなさい。なんか、ローって愛されてるんだなって思ったから。」
その言葉をきいて、その人は満面の笑みを浮かべる。
「俺達は船長が大好きだよ!!」
私にはこの海賊団が、まるで家族みたいに思えた。ローはクルー全員に愛されてて、きっとロー自身もクルーのことを大切に思ってる。私もいつか、このハートの海賊団のような家族がほしいと、心から思った。
