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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第2章 次の島まで


昼前の柔らかな陽の光に照らされ、甲板に腰掛け、空をあおぐ。太陽と髪をゆらす、心地よい潮風に目を細め、かつて家族と暮らしていた頃を思う。この、心地よい陽射しとそよ風は自分が生まれ育った、あの場所を思い出させる。心を決めたにもかかわらず、1日足らずで故郷が恋しくなる、自分の弱さが恨めしい。
振り切ろうとしても後を追い続けてくる思い出は、この日のように晴れた日の出来事だった。その日は昨日に次いで、私の人生が大きく変わる日だった。

「パパ!まだ?まだ、だめなの?」
当時5歳の私は父に焦って問いかける。それに父はいつものように優しく答える。
「もうちょっと待ってね。ママがいいって言うまで。」
「ママーー!はーやーくー!!」
私は次に、扉の向こうの母を急かす。
「…オッケー、いいよ」
少し遅れて母の声がきこえる。
その言葉に私は目を耀かせて、小さな家の一室のドアを開ける。
中では、木で作られたベットに母とその腕に抱かれた、小さな体が見えた。
「わぁ…」
私はベットに駆け寄り、のぞき込む。
母の腕にすっぽりと収まるのは、今日産まれた私の妹。新たな家族だ。私がひたすら妹を見つめていると、母が赤い瞳をこちらに向けて、微笑んで言った。
「そんなに楽しみだった?」
「当たり前でしょ〜」
「でも、お姉ちゃんも大変よ」
その時、意味ありげに微笑を浮かべる母を見ても、その真意が掴めなかった。
「どうだ?マリィ。感想は?」
父も私に続いて部屋に入る。
「んー…」
考えながら妹の頬を軽くつついてみる。しかし、起きる様子はない。
「可愛い、けど。起きてくれないかなぁ…面白くない。」
「わがままか。」
父と母は揃って苦笑した。
すると、妹は私の声が聞こえたかのようにタイミングよく目を開く。
「あ!やった、起きた!」
私は手を叩いて喜ぶ。
妹の瞳は桜のような桃色だった。
それを見てやはり妹も聖目族なんだな、と思う。当たり前だけど。
そう思い、ふと頭の中に疑問が浮かぶ。
「この子、『神の愛し子』なのかな?」
それを聞いて父も母も、目を丸くする。
「…どうして?」
「なんとなく。きいてみただけ。」
父も母も、それを聞いて安堵のため息をこぼす。
「この子は、どんなことが得意なのかしら。」
母が話題を切り替える。
「この子は料理が上手だよ。」
私は母にそう答える。
「それも、なんとなくか?」




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