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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第2章 次の島まで


ローside
「あっ、おはようございます船長!」
食堂にはまだ朝の7時くらいだが2、3人のクルー達が食事をとっていた。
「ああ」
俺はいつもの席につく。マリィは俺の向かい側の席につく。
「どうぞ」
マリィの前には昨日の量の2倍近くの料理がならぶ。
その料理に、マリィは目を輝かせる。
そして俺の前には、いつも通りのメニューがならんでいた。
もちろん、おにぎりとコーヒーだ。
俺がコーヒーに手を伸ばし、飲んでいるとマリィがじっと俺の前にあるおにぎりを見つめていることに気がつく。
「なんだ?」
「いや、ローはおにぎりだけなんだね」
「ああ」
それでもなお、一心におにぎりを見つめ続けるマリィに問いかける。
「食わねぇのか?」
マリィはその問いに、んー…と唸ってから話し出した。
「なんか、ローがそれだけしか食べないのに私がこんなにたくさん食べるのはどうなのかなーと。」
至極今更な発言をするマリィに思わず苦笑する。
「気にせず、好きなだけ食え。」
それを聞いてそれなら…と用意された料理にゆっくりと手をつけ始める。みるみるうちに食べるスピードを上げ、最終的には息もつかず、一心不乱に食べ始めた。
それを見届け、俺自身もおにぎりに手をつけた。

その日の正午近い時刻、海上に浮上した船の甲板の端に座り、空を見上げるマリィの姿を見つけた。あえて声はかけず俺も少し離れた場所に腰を下ろす。それに気づいたマリィはこちらに顔を向け、少し微笑む。
「なにをしている?」
俺はそう問いかけた。
マリィは空を見上げ、心地よい潮風に目を細めて答える。
「いつも海の中だから、空を見に出てみただけ。海の中じゃ見れないでしょ?」
こいつが空を見に来た意図が俺には読めなかった。
家族を恋しがってのことなのか、はたまた約一日ぶりに陽射しを浴びたいと願ってのことなのか。
この女は言いたいことは全て口に出す単純なやつかと思えば、自分の感情をひた隠しにしたりする。しかし、こいつは何があっても自分の本来の目的を見失ったりはしない。まだ出逢って一日だが、それだけは確かだと思った。
空をまっすぐに見つめる瞳には、青い空と憂いの色が映っていた。


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