海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第5章 情報収拾
「…?」
振り返ると、青雉が指していたのはソファだった。
「これ、忘れんなよ」
「っ…」
気付かれて…
「何も忘れてなんかいませんけど」
「しらばっくれるんじゃねぇよ。その、ソファの下、盗聴器でも付けてんだろ」
「…勝手に、捨ててください」
「だりーな…」
私は、部屋から出た。
いまいち、頭の整理が追いついてない。
取引…?なに、突然なんなの。
でも、それより何より…
「失敗、した…」
これじゃあ、情報を貰えない…
どう話そう。
ローにも、あの人にも。
取引のこと、どうしよう。
「ああ、もう…」
考えることが、山積みだ…
その日の夜、キャラバンに戻って、報告をした。
取引のことは、言わなかった。
…言えなかった。
「失敗、しちゃったか」
「…すみません……まさか青雉が来るなんて…」
「それは私も想定外だったよ。情報源が間違ってたか…はたまた間違った情報を掴まされたか」
「すみません」
「なんであんたが謝るんだい。自分のためにやってたことだろ」
「でも…喉から手が出るほど欲しいって…だから…」
確かに、私が、情報を手に入れるためだった。
でも…あと、一歩だったのに。
それなのに、手にいられられなかったことが悔しくて。
それを待っていたこの人に申し訳なくて…
「ほら」
テーブルに置かれた紙を、手に取った。
「見てみな」
「…っ…これ…」
「お前たちのことじゃねェか…」
私の家族の、居場所、状態、扱い、そして今後についてが全て記されていた。
「今回のは、度胸試しみたいなもんだ。あんたは惜しいとこまで行ったろ?だからそれ、やるよ」
「…いただけません、こんな…」
何も、成し遂げられてないから…
「それで、兵の数ですが…」
「「「!?」」」
それは、テーブルに置いておいた、小型でんでん虫から聞こえたものだった。
「まさか、盗聴器が…」
「ああ…成功してたんだ…」
うそ…なんで?
なんで青雉は、あれを外さなかったの…?
「まぁ、聞こうじゃないか」
「護衛に割ける兵の数は、500ほどですが、武器の用意は万全です。また、用意出来る軍艦は、商品が乗る船、護衛の船合わせ、10隻ほどかと」
「でもそれでは余計目立つことになる。極秘なんだから、もっと数を減らせ」