海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第5章 情報収拾
「…情報なんて、そんな大層なもん知らねぇよ…」
「じゃあ、知ってること全部吐け」
「…相応の対価は払ってくれるんだろうな?そうだな…さっき、青い目の女を見たか?あの手触りは他にはねぇ…その女を連れてきてくれるんだったら教えてやっても…」
「死にてェのか?だいたい、そんな大層な情報じゃねェんだろ?」
こいつが俺のマリィを語ることにも、俺が触れたことねェもんを知ってることにも腹が立った。
手元の大刀をチラつかせて脅す。
「早く言え」
「わ、わかったって!でも、知ってるのは俺じゃねぇ!ボスだ!ボスは、海が荒れてる日は、街のバーのマスターをしてる。キャラバンってとこだ。そこに行けば、ボスに会える…これで、いいだろ…頼む、俺が言ったことはボスには言わないでくれ…」
「ああ」
かつての俺なら、ここでこの男を切り捨ててる。
でもマリィを愛すようになってから、焼きが回ったのかもしれねェ…
男達を一瞥し、何もせずに部屋を出た。
マリィside
ローが私を迎えにきた頃には、手当は終わっていた。
鏡を見ると、腕など数箇所に包帯を巻き付けた、痛々しい自分の姿が目に入った。
多分、ローは私を見て、自己嫌悪するんだろうな…
私の不注意が悪いのに…
案の定、ローは私を見ると、辛そうに目を細めた。
また「すまねェ」と謝ると、私の手を引き、蒼導石片手にホテルへ戻った。
ホテルに着くと、再び強く抱き締められた。
でもそれは、息苦しい程ではなく、加減をしてくれているのだと感じた。その温かさが心に染みて、涙が零れそうになった。
「悪ぃ…俺が離れたせいで…」
「ううん…私が、弱いのがいけないんだって……」
だからもっと強くならなきゃ、って笑ってみせたいのに、その後の言葉は涙にのまれた。
その時、気づいた。
私は、力が及ばなくて悔しいと思った。でもそれ以前に、怖かったのだと。
だから、安心して泣いてしまったのだと。
「怖かった…」
「ああ…」
ローは、私の頭を安心させるようにゆっくりと撫でてくれた。
「あんなの、分かんなくて…怖くて…気持ち悪かった…」
男の人に触られるのがあんなに嫌だと思ったのは初めてだった。
顔を上げると、愛しい人の顔がすぐそこにある。
それがどんなに幸せなことなのか、身をもって感じた。