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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第5章 情報収拾


ローはゆっくりと私を離すと、そっと私の頬を撫でた。

「大丈夫じゃねェだろ…腫れてる…………すまねェ…」

「ううん、私が弱いのが悪いんだよ」

だから、ローは悪くない。
俺のせいで、と続ける気がしたから、すかさず言葉を継いだ。

「それにこのくらい、すぐ治るよ…」

左手で何度か殴られた頬を抑え、はだけた胸元を右手で隠した。
しかし、それに気づいたローの表情は険しさを増す。

「…抱かれたのか」

「抱かれ…?よくわかんないけどとりあえず、触られただけだから…」

「触られたのか…」

こんなに悲しそうで、悔しそうな顔をするローを初めて見た。

何を言っても墓穴を掘ってしまう気がして、口を噤む。

「大丈夫だよ、触られただけだし…」

声が震えるのが自分でも分かった。
でも、泣く訳には…

「…とりあえず、船に戻って手当だ」

ローは私に自分の上着を被せて、手を引いた。
その手が温かくて、また涙が溢れそうになった。

ローside

「あっ、マリィさん!!」

「あ、ごめんね、心配かけて…」

「それはいいっすよ…無事でよかったっす…」

「ペンギン、こいつを船まで送り届けてくれ。怪我してる」

「ええっ…え、じゃあ船長は?」

「俺は…俺も、すぐ行く」

そう言って、階段の上を見上げる。

「ロー…?」

心配そうにこちらを見つめるマリィの頭を撫でて、少し笑ってみせた。

「先行ってろ」

「…うん、気をつけてね」

「ペンギン、頼んだ」

「了解っす」

俺は階段を駆け上がる。

見えてきた部屋に踏み込むと、数人の男達が伸びていた。
といっても、意識はある。

こいつらがマリィを…

じわじわと、怒りが滲む。

「な、何だ、お前は!?」

「安心しろ、殺しはしねェよ」

本当は、殺してやりてぇが…
俺はその場にいた男の胸ぐらを掴んだ。

「おい、死にたくなけりゃ、お前らが知ってる聖目族の情報、全部寄越せ」

もしこいつらが情報を持ってるんだとしたら、この状況で聞き出さない訳にはいかない。

きっとマリィは、こいつらを殺すことよりもそれを望むはずだ。

マリィなら、自分の不幸さえ追い風に変えるはずだ。

必要とあらば、自分の身さえ危険に晒すやつだから…

初めて会った時の彼女が頭を過ぎった。








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