海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第5章 情報収拾
殺風景な部屋に申し訳程度に飾られたオブジェを見つめて操る。
浮かせて、主犯格の男の頭の上に落とした。
「ヴッ!?」
その男は気絶し、他の男たちは呆気に取られている。
今のうちに!
「あ、おい待て!」
拘束が緩んだ隙にドアへ向かって駆け出す。
それでも、体当たりされて、難なく倒れ込んでしまった。
上にのしかかる重さから、穢れた感情が流れ込んでくる。
しまった、思いを読み取って…
上手くいかなかった…
でも!
「くっ」
「うわっ!?」
その男の体を浮かせ、私はその男の下から這い出でる。
諦めてたまるか…!
助けて貰ってばっかりじゃ、それに頼ってばっかりじゃダメだって、思うから…
頑張れ、私…っ
「そうか、お前、例の聖目族の娘か!」
気づかれた…!でも、仕方ない…
この部屋に残っているものは、真っ二つに割れたオブジェと、ベッド。
…よし。
「じゃあ事が済んだら海軍に引き渡すか!」
「イイもん拾ったなぁ!」
そんなこと言ってられるのも今のうち…
2つに割れたオブジェのうち、片方を操り、持ち上げる。
「同じ手には食わねぇよ」
蒼導石がない時、同時に操れるものは一つまで…
だから…
叩き落として粉々にして、すぐさまベッドを持ち上げる。
「っ…」
そしてそれを気を取られているその男達の頭上から落とす。
「ぐあ!?」
よし、これで4人倒した。あと2人か…
考えを読み取っても仕方ない、未来を見てもダメ。入口の前には1人立ってるし、窓もないから逃げられない。たとえ逃げても、追いつかれて終わり。
操れるものは…オブジェの片割れだけ……いや、まだある。
使える物は、使ってやる。
やりたくはなかったけど…
私は、上着を脱ぎ出す。
「お?やっと諦めたか?」
よし、3人の目が私に向いた。
この隙をついて、ドアの前にいる男の心に語りかける。
そこを、どきなさい。
けれど、その男は少し動いたけれど、完全にドアの前から退くことはない。
なんで!?操れない…!
「おう、どうした?止まってるぞ?もしかして脱がして欲しいのか?」
ドアの前の男は私に操られかけてるみたいで動かないけど、残りの二人がこちらに寄ってくる。
とにかく…逃げることが最優先だ。
ドアの前にいた男を操り浮かせて、ドアへ走る。