海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
「ありがとう」
「やっぱりカッコいいよ。あんたは。」
「…?カッコいい?」
「そ。俺には真似できない、カッコ良さ。」
「嬉しいけど、私はカッコ悪いとこばっかりよ。勘違いで突っ走ってしまうし、まだまだ弱いし…」
ローにも、迷惑を沢山かけてしまうし。
「マリィは、強いよ。俺に比べればさ。」
メルドは、いつもそう。
「なんでそんなに、自分を下げるの?とても努力してるのに。」
「結果が、出ないからだよ。」
「でも、結果が全てじゃない。」
努力した、っていう事実だけは変わらない。
「結果がまだ出なくても、努力は必ず報われる。」
「うん、ありがとう。…今回、力がなかったら何も守ることは出来ないんだって実感した。」
「…うん」
「だから、俺はまだ努力するよ。」
ローside
メルド屋は、村人の方へ戻った。
「ねぇ、ロー」
「なんだ」
「私、腹が立ったの」
「…」
「みんなは何もしてないのに、なんで海軍の人達はみんなを捕まえようとするの?こんなの、理不尽すぎる」
マリィは、拳を握りしめた。
「私はただ聖目族として力を持って産まれただけで狙われてしまうみんなを守らなきゃならない。」
そして拳を緩めると、懐かしむような表情をする。
「私、この島に着いたばかりの時、もし私が行く代わり、家族を解放して貰えるならそうしよう、って」
「は!?」
ダメだ。
それを言う前に、マリィの唇から言葉が紡がれる。
「でもローと一緒にいられると決まって生きたい、って思った。それに、今回こんなことがあったから、簡単にそんなことは出来ないって、私がみんなを守らなきゃいけないって、思ったの。」
強い志を宿す、マリィの瞳に見とれた。
強く、優しく、素直で、それでいて冷静なマリィの、他人のために行動しようとする、その生き方に魅せられた。
俺はきっとこれからも幾度となくこいつに魅了されるだろう。
その度に、マリィに恋をする。
そして、その度に思うだろう。
共に、生きて行きてぇと。
マリィだけは、命を賭けてでも守らなければならねぇと。
「俺も手伝おう」
「ありがとう…!」
柔らかいマリィの笑顔を見て、再び決意する。
聖目族の仲間を守るマリィを守るのは、俺だ。