海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第4章 少し寄り道
マリィside
「メルドも?」
「え?」
「メルドも、一緒?」
「…ううん、俺は行かないよ」
メルドはジュリちゃんの前に屈んで、頭を撫でる。
「じゃあ、メルドといたい…っ。お母さんが、いなくなっちゃったから……」
ジュリちゃんは、涙を堪えながら訴えた。
そんなジュリちゃんを、メルドはそっと抱きしめた。すると、ジュリちゃんは、嗚咽を漏らしながら泣き出す。
「いいよ。じゃあ、俺がジュリといてあげるよ」
「うん…っ」
こんなに小さな子を泣かせてしまうなんて…
この子を見捨てた母親と、それを奪った海軍…政府に、腹が立った。
抱きしめ合う、まるで兄妹のような2人を見て、メルドにお礼を言う人や、感動して泣き出す人もいた。
「よかった…」
みんなと、メルドの仲を改善することが出来たみたいで。
でも…これは私の力じゃない。
メルドがこの場にいるということはみんなを助けに来たということ。
メルドが信用を勝ち取ることが出来た理由は、そこにある。
聖目族としての力がどうであれ、最終的にものをいうのは個人の、性格だってこと。
「あの、さ…」
メルドは私の前に立つと、気まずそうに視線を逸らした。
「ありがと…みんなを助けてくれて。それと」
メルドは私と視線を合わせると、もう一度口を開いた。
「もう来るな、なんて言ってごめん。取り消す。別に…あんたが嫌いなわけじゃないんだ…俺…」
メルドは再び視線を落として、真っ赤になって口を噤んだ。
「…?大丈夫?」
訳が分からなくて、とりあえず声をかける。
「…っ、ああ、うん、大丈夫……ねぇ、俺を許してくれる…?」
よく、わからないけれど。来ないでって言葉を取り消すならば
「じゃあ私は、頼って欲しい、っていう言葉を信じてもいいの?」
「…うん、そういうこと」
メルドは気恥しそうに頷いた。