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海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】

第4章 少し寄り道


「ありがとうございます、ありがとうございます…!」

すると、マリィは困り果てた表情をする。

「どうした?」

「前、メルドが言ってた、海賊に襲われた時のこと、覚えてる?」

「ああ」

「私は、それを引き起こした原因の娘なのに…こんなに感謝されてしまってもいいのかな…?」

不安げに見上げてくるマリィの頭をこちらに寄りかからせる。

「ロー?」

「過去のことに、お前は関係ない」

「でも…」

「お前は、今回聖目族を助けた。それは紛れもなく事実だ。だから、胸を張っていればいい」

「…うん、ありがとう」

「ああ」

「ねぇ、お兄ちゃん」

さっきの、紫色の瞳の娘が声をかけてきた。

「なんだ」

「どうしたの?」

「あのね…」

少女は、涙目になって訴えた。

「お母さんがいないの…!」

「え…?」

あの愛想の悪い母親か…まぁ俺が言えたことじゃねぇが。

「瑠璃姫様…」

村人の1人が、こちらに手招きする。

「ちょっと待っていてね」

マリィは少女に言い聞かせると、村人の方へ歩み寄る。

「実は裏切り者は、あの子の母親なんだ」

「え…」

「あの子の母親は海賊が襲ってきた時、兄弟を殺されたんだ。」

「それじゃ、私を恨んで…?」

「いや、あんたのせいじゃねぇ。…でも、あの子の父親は病で死んだ。身寄りがねぇんだ、あの子は。」

見たところ裕福そうな家もねぇ

「どの家も自分達の暮らしで精一杯だ。世話ができるほどの余裕はねぇんだ」

「ねぇ、ロー」

マリィの言いたいことは分かる。
マリィは優しい。
引き取りたい、ということだろう。

…俺も、病で家族が死んだ。そして、海賊…ドフラミンゴのもとで生活してきた。
俺達が引き取れば、あの娘も海賊になるんだろうか…

「私達がお世話できない…かな」

だが、マリィが望むなら……
そんなことを思う程、絆されている自分もどうかと思うが。

「…お前が世話しろ」

「ありがとう…!」

素っ気ないただの肯定の言葉にマリィが、顔を輝かせる。
マリィの笑顔を見ただけで、暗い過去のことも一瞬で忘れられる。

「ジュリちゃん」

マリィはその娘…ジュリの前に屈むと、微笑んだ。

「お姉ちゃん達と一緒に来てくれる?」

そう言って、手を差し出した。

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