海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第2章 次の島まで
「…やっぱり私、食堂で…」
「いや、俺の部屋でいい。」
私もそれでいいんだけど、迷惑がかかってしまう。
何より、この胸に引っかかる何かがそれではダメだ、と訴えている。
チラ、とローの顔を盗み見る。端正な顔立ちをしていて、じっと見ていたらこちらが恥ずかしくなってくる。
たった半日一緒に過ごしただけだけど、それでも剣を振るっていた時や、私を助けてくれた時、話す時、思わずかっこいいと思ってしまう。
この気持ちが今はよく分からないから、『気の迷い』で済ませておこうと思う。
「…なんだ?」
きっとあまりにも私が見つめていたから不思議に思ったであろう、ローが訝しげにこちらを見てくる。
「あ、なんでもない。そういえば、1つは、って言ってたけど、他にもなにか?」
話題をそらして誤魔化してみる。
「ああ、そうだったな。…いや、それはまた後でいい。」
そう言って、ローは背を向けて、食堂への道を歩みだした。
しかし、私はこれからすることがなくて、どうしたらいいか分からない。
「待って、ロー!私は今からどうしたらいい?」
すると、ローは私の方を振り返って答えた。
「好きにしてればいい。俺の部屋にいても、あいつらと話していてもいい。」
ローはそう言い残すと、再び背を向け、去っていった。
私はローが見えなくなるより早く、ローの部屋の扉をあけ、中に入った。
そこは、黒一色の部屋だった。
船にあるにしては広いであろう部屋の奥には長身のローがゆったりと寝転がることができるくらい大きなベットがあり、ベットの右側にも左側にも1つずつ扉があった。右の壁には大きな本棚があり、その中に数え切れないほどの本がならんでいた。そこより少し手前に本が幾つか積み重なった机があり、その前に椅子がある。
ベットの右側の扉の隣には少し広めの2、3人掛けのソファがあった。
私はそのソファが目に映ると、そこへ倒れ込む。
今日は、今までの人生で最も色々なことがあった日だった。
自分が思っていたより、疲れていたみたいだ。
私はそのまま目を閉じて、闇に吸い込まれるように眠りに落ちていった。