第2章 極寒の夜咄【ヴィクトル/R18】
一瞬自分が陥っている状況が理解出来なかったが、頭がハッキリ意識をもってくるとおずおずといった調子で彼に声を掛ける。
「…えっと、ヴィクトル?これは一体____」
ヴィクトル「日本では《壁ドン》って言うんだっけ?女の子達が話してるの聞いたらにやりたくなった」
態と耳元に顔を寄せていつもより少し低めの、吐息を含ませた声でそんな甘い事を言われたら、勘違いしてしまう。
というか、変な言葉覚えちゃってるし……
取り敢えず、この状況をどうにかする方が先だ。
「そっか。私の為にわざわざ有難うね。心の底から満足したから、もう離れていいよ」
声が震えないようにするので精一杯で、少し上擦ってしまった。こんな些細な違和感を聞き逃す彼ではない。
ヴィクトルが益々体を近付けて密着させると、彼の肌が直に背中に触れて小さく肩を跳ねさせる。
温かい、彼の温もり。
ヴィクトル「んー…俺はまだ満足してないから駄目。」
そう囁くと徐に私の体を抱き締め、首筋に柔らかい口付けが落とされた。
「んッ……」
突然の甘い刺激に思わず声が漏れると、彼が満足そうに喉を鳴らして笑う。
ヴィクトル「すっごくイイ声が出たね……もっと聞きたいなぁ」
そんな事を呟くと首筋に舌を這わせ、軽く吸い付く。
違う刺激が体を襲う度に細かく反応してしまう体と、私の思い通りにはいかずに彼の思惑通りに漏れてしまう声を恨みながらも、彼を恨むことは到底出来なかった。
焦らす様に首筋だけ狙う彼に耐えかねて、
私は理性の箍(たが)を自ら外した。