第2章 極寒の夜咄【ヴィクトル/R18】
「ちょっ、ヴィクトル!何で入って来ちゃうの!?」
突然の彼の登場に頭を洗っているにも関わらず目を大きく見開いて彼を見つめる。
当然の様に彼は既に裸で、端整な骨格で形造られスケートで鍛えられた程々の筋肉で覆われた上半身____世の女性達が羨む絶景を見てしまった私は思い切り視線を床へと下ろす。
ヴィクトル「何でって…と一緒にお風呂入りたかったからだよ。理由なんてそれしか無いし、理由が無くても一緒に入るつもりだったから♡」
(……なるほど。彼の都合良く帰ったらすぐお風呂に入れるように仕組まれたってことね…)
何処か得意気な彼の笑顔を見ると壁に手をつき大きく溜息を吐く。彼が皆の予想を越えることをするのは今に限ったことではないが、流石にここまでされると驚きを通り越して呆れてしまう。
一緒にお風呂に入ることが初めてという訳では無いが、彼の事を考えていたところで突然の出来事だったので心臓が破裂しそうなくらい動悸を主張している。
本当に、彼といると心臓が保たない…
ヴィクトル「そんな事より、頭泡だらけじゃない。もう充分洗ったみたいだし、流してあげるよ」
そう言うとシャワーからお湯を出し、温度を確認すると"いい子だから、目閉じててね〜"と声を掛けながら私の頭に柔らかい水流が降り掛かる。
彼の言う通り目を閉じても、当然の様に浮かぶのは彼の姿ばかり。
目を開けてしまっているのかと錯覚してしまいそうな程に鮮明に浮かぶその姿を見つめることしか出来ず、早く泡が流れ切ってくれないかと心中で手を合わせて祈る。
懸命な祈りが通じ、シャワーの水流が止まると私はホッと胸を撫で下ろし、彼に一声掛けようと後ろを振り向こうとすると_________
私の目の前にある壁に彼の両手がつき、背後から彼の体と壁に挟まれてしまった。