第2章 極寒の夜咄【ヴィクトル/R18】
背中の柔らかい感触に薄ら目を開けると、彼の部屋の天井が見えた。
(あれ…どうしたんだっけ)
お風呂に入ってたらヴィクトルが乱入してきて、髪を洗われた後に甘い言葉を囁かれて、それで……
ヴィクトル「あ、目が覚めたんだね。体、大丈夫?」
柔らかい声を聞いてそちらを見遣ると、ベッドの横にあるシングルソファに腰掛け、バスローブ姿で本を読んでいたヴィクトルがこちらを心配そうな面持ちで見つめていた。
「ヴィクトル……ちょっと体がだるいけど、他は何ともないよ。ねぇ…私どうしたの?」
ヴィクトルは私の言葉に安堵したように小さく息を吐いてから、
ヴィクトル「よかった……、あの後逆上せたみたいで立ち上がれなくて。急いで俺のベッドに寝かせたんだ。ごめん…俺のせいだよね。本当にごめん……」
綺麗な青い瞳を伏せながら謝る彼の姿を見たくなくて、手を伸ばし彼の頬に添えるとこちらを向かせる。
「大丈夫、ヴィクトルのせいじゃないよ。誰のせいでもない…気にしないで」
と言って微笑む。実際、彼の愛の言葉も聞けたのだから、私は大満足だ。
ヴィクトルは頬にある私の手に重ねる様に自分の手を添え、淡く笑みを浮かべると、
ヴィクトル「ありがとう……は優しいね。…益々離れられなくなるよ」
と愛しさの込もった目で私を見つめて言うと、額に小さく口付けを落とした。
ヴィクトル「さて…今日はもう休もう。明日は、二人で何処かデートに行こうか」
とベッドに上がって私の横へ寝転ぶと私の体を引き寄せて胸の中へ閉じ込めながらそう提案される。
久し振りに二人だけで出掛けられることが嬉しくて、彼の胸の中に顔を埋めて、
「うん、行こう!すっごく楽しみにしてるね」
と満面の笑みで言うと、ヴィクトルも笑みを深めて私の頭に手を置く。
そのまま何回か撫でられた後、ずっと聞いていたくなるような声音の囁きが聞こえてきた。
「おやすみ、俺の子猫ちゃん。」
《Fin》