第2章 極寒の夜咄【ヴィクトル/R18】
流石は寒い土地、ロシア。日本とは違い肌を刺すような冷たさの風が容赦無く叩きつけてくる。
タクシーに乗るまでの間だけでも頬は冷たさで赤く染まり、彼の家へ着く頃には体の芯まで冷えきってしまっていた。マッカチンは何処でも元気そうだったけれど。
ヴィクトル「日本とは違って、には寒かったよね…お風呂はもう入れてあるから、入っておいで」
荷物を手に持ったままそう言って微笑む彼に甘える事にして、彼の部屋から以前来た時に少し残していった私の着替えを取り出してからお風呂へ向かう。
浴室の扉を開けると温かい湯気が室内を埋め尽くしていた。
今来ている服を脱いでお湯に体を浸けると、冷え切っていた体がじんわりと温かみを増していく心地がする。
私の為に用意してくれたのだと思うと益々心までホカホカになってしまう。
「はぁ……幸せだな…」
無意識に小さく呟いていたことに気付くと、小さく笑みを漏らす。
私のにとって彼の存在はそれ程かけがえのない事だと思うと、一緒に拭えない不安が首をもたげる。
世界中の女性にモテる彼、スケート界の歴史に名を残すレジェンド。それがどれ程彼の存在が世界にとっても大きなものかを物語っている。
そんな彼が私の愛している人……未だに実感が湧かない時が多々ある。
体が充分温まったところで浴槽の栓を抜くとお湯を流し、シャワーからお湯を出すと体と髪を手早く洗う。
すると_________
ヴィクトル「My kitty!お待たせー!」
シャンプーで髪を泡立たせながら洗っていたところへ意中の人が大きな声でそう言いながら私の返事も待たずに入って来た。