第3章 マッドψエンティストの暴走
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ーー翌日
「おはよー。早速だけど、君の超能力について調べさせてくれる?」
上機嫌な斉木さんがニコニコと私の前に立っていた。
……この人は、時間という概念を忘れてしまったのだろうか?言っておくが、今は早朝4時6分21秒である。
昨夜、もう遅くなってしまったからと、夕食と寝床を提供されたのはこの為だったのか。提供して頂いたのは有り難がったが。
というか提供したとはいえ、勝手にスペアキー使って部屋に入ってくるのはどうなのか。
「おはようございます……あの、今何時かご存知ですか?」
「4時6分28秒だね」
「ご存知でしたか幸いです。ではもう少しだけ寝かせて下さい」
「布団没収〜」
「パワハラ!セクハラですよ!」
「大丈夫大丈夫、僕楠雄以外は人類みんな猿としか見てないし。猿に欲情しないし」
「ぐぬぬ」
剥がされた布団の暖かさが恋しい。
セクハラだと騒いだが、斉木さんは先程の台詞通りに全く他の人間に興味を示さない。
風の噂で、将来超有望イケメンだと美女達が言い寄って来ても、存在すら認識してないんではと思うくらい無視したと聞いた事がある。
私なんかは超能力があるから認識されてるものの、それでも猿の子どもくらいにしか思われてないんだろう。
「君の超能力は他の研究員には話してないから、僕専用のラボの方で調べよう」
「斉木さんの専用のラボがあるんですね……まだ大学生でしたよね?」
「お金なら有り余ってるからね。まぁこのラボは国の援助で立てたけど」
成る程。最先端技術の特許を持つ研究者に、国外へ行って欲しくないのか。援助金を惜しみなく出すはずだ。
斉木さんと共にラボへ向かいながら、私も今考案中の技術を特許申請してみようと静かに情熱を燃やしていた。
暫くするとラボに着き、斉木さんは扉の横の指紋認証システムに手を合わせた。
“斉木空助様、指紋を認証致しました”という台詞と同時に、重たそうな扉が開いた。サイバー感すごい。
「う、わーっ!!すごいですねこのラボ!!流石最先端のモノが揃ってますね!どこもこれも憧れたモノばっかり……あの!あとでちょっと見てもいいですか!?」
「うんうん、後でね。先に君の身体からね」
「言い方如何わしいので止めてください。……じゃあ、とりあえず浮いてみますね」