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斉木空助のψ愛【斉木楠雄のψ難】

第2章 天ψ!科学者との遭遇







不可解だと顔を歪める私の表情を見て、斉木さんはなんとも曖昧に口元に笑みを浮かべた。

悔しそうで嬉しそうな、形容しがたい笑みだ。


「別に戦って欲しい訳じゃない。君なんて瞬殺されちゃうよ。
君の『空中浮遊』の能力を調べれば、応用してもっと空を飛ぶ機体をスリム化出来そうだし、超能力の欠点を見つければ楠雄の弱みも分かるかも知れない」

「…うーん……超能力を第三者に計測してもらうのと、それを技術に応用するのは私も有り難いですが、楠雄くんと私の超能力では比較対象にはならないのでは?」

「そんなの、やってみないと分からないだろう?」
その言葉に、眉がピクリと動いた。

「不可能を可能にするのが、研究者だろう?」


斉木さんのその一言に、断ろうと考えていた私の心はグラグラと揺らめき始めた。その台詞はズルい。


「超能力だけじゃなくて、君の研究者としての技術も買ってるんだよ」


さ、斉木さんが……!
あの若き天才斉木さんが、私の技術も買っている!?
にやける顔を必死に抑えるが、抑えられている気がしない。


「君は来年飛び級してケンブリッジ大学に行く予定なんでしょ?その間だけでもいいから、僕の助手として楠雄に勝つ為に協力してくれない?」


じょっ…助手!?斉木空助の助手なんて、願っても無いチャンスが目の前に……!
是非やらせて頂きたい!入学までと言わずずっとやらせて頂きたい!!
それに、楠雄くんの超能力を間近で見れるかも知れない。日常生活でどうやって超能力を隠して過ごしてるかも興味深い。

……いやいやいや、流されてどうする!超能力者である楠雄くんに勝つなんて言ってる人の傍に居たら、研究以前にどんな目に合うか。

うーん、あー、と言い淀んでいるとニコニコしていた斉木さんが、スッと真剣な面差しになった。

ハッキリしない私に苛立ったのか?狼狽えていると、次第にヘーゼルの瞳が潤み始めた。


「お願い。僕には君の力が必要なんだ」

「あひゅう〜やります〜!」


あの斉木さんが、私の力を必要としてる!?
どんな目に合ってもいいじゃないか!尽力を尽くすべきだ!!
……決して斉木さんの可愛いお願いポーズにコロッといった訳ではない。決して。







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