第4章 ψ接近!二人の距離
ーー数日後
「はぁーっやっと終わった……」
斉木さんとの結婚を了承して以来、私はめまぐるしい日々を送っていた。
まずウェストミンスター校へ退学の手続きを終えた。斉木さんの元で学ぶと言ったら、先生達に目を輝かせながら応援された。
そして私の両親との顔合わせをした。既に斉木さんとは面識があったが、結婚するという事で改めて席を設けたのだ。
正式に結婚届を提出するのは、私が高校を卒業する年齢になってからと話し合って決めた。
それまでは婚約者という立場だ。いや、助手兼婚約者という言葉の方が正しい。
斉木さんのご両親には、まだ連絡もしていない。
何度か連絡するよう言ってみたが「サプライズの方が楽しいし」と、女子高生みたいな事を言って連絡をしていないようだ。
「本当にいいんですか?ご両親に連絡もなしに結婚なんて……」
「あの人達はいつ話しても歓喜狂乱するから大丈夫だよ。ていうかやる事終わった?早く実験しようよ」
「えー!少しは休憩させて下さい!」
「しょうがないな~ほら、」
斉木さんはパソコンに向かっていた身体を椅子ごとくるりと回って、こちらに両手を広げてきた。
「何ですか、その両手」
「え?恋人同士って女が男の膝に乗って抱きしめ合って休憩するんでしょ」
「どこ情報なんですかそれ!全然休憩出来なさそう!」
「えっ知らないの?最近の常識なのに?」
「……えっ」
「ほんと?ほんとに知らないの?ププッ……あぁごめんごめん。知らないなら無理しないでも」
「……しっ……知ってましたよ!!ただ、最近の流行はすごいですねと言いたかっただけで」
「そうだよね~、じゃあおいで」
斉木さんが手をこまねいてる。
本当に男女で抱き合う休憩が流行ってるのか?斉木さんがからかっているだけじゃないか?
でも、もし本当だとしたら、最近の常識も知らないイモい研究女だと思われてしまう!
……実際否定は出来ないが、そう思われてしまうのはなんとも耐え難い。
「は、流行ってますもんねコレ!」
「うん、だからおいでって」
「……は、はい」
ゴクリを唾を飲み、斉木さんの前へと向かう。
……いざやろうと思うとすっごい恥ずかしいんですけど……。
膝に乗るって、結構な密着だ。こんなの本当に流行ってるのか?